ここでは聴覚障害のある方のための通信・放送サービス等について、情報通信研究機構(NICT)が助成を行っている事業を中心に紹介します。
主として聴覚障害のある方や発話障害のある方と健常者との電話連絡を、サービスセンターのオペレータが仲介するサービスです。障害者が健常者に話したい内容を、インターネット、携帯電話、テレビ電話、FAX等を使って、手話や文字等でオペレータに伝えると、オペレータは障害者に代わり健常者にその内容を電話で伝えます。また、健常者からの回答をオペレータが手話や文字等で障害者に伝えます。
実際のサービスでは、視覚障害者向けに提供されるサービスを含むものもあります。
聴覚障害者は避難勧告を流す防災無線やラジオの音を聞くことができず、言語障害者は家屋の下敷きになっても助けを呼ぶことが出来ません。
災害時の情報は、ラジオ、無線、広報スピーカ等の音声によって発信されることが多いため、聴覚障害者は災害情報を入手できず、最大の災害弱者となっています。
阪神淡路大震災でも、聴覚障害者等の災害弱者の被害が非常に大きかったことが報告されています。
インターネット対応携帯電話のメール機能を利用して、聴覚障害者に必要な災害情報を配信するとともに、緊急時に消防署などの緊急機関に緊急メッセージを代理通報するなどのサービス例があります。
一般テレビ放送で字幕放送を行っていますが、生番組へのリアルタイム字幕付与はまだ十分でなく、聴覚障害者の求める情報が不足しているため、著作権法第37条2の聴覚障害者のための自動公衆送信が認められる者により、字幕を配信するサービスが実施されています。
市販されているDVDやインターネットで配信されている動画の字幕も、十分に提供されているとは言えません。
地域単位のテレビ電話双方向告知通信システムを活用し、聴覚障害者が手話動画や文字、画像によって情報サービスを受けたり、聴覚障害者と健聴者、聴覚障害者と聴覚障害者の双方向コミュニケーションが可能となるサービスです。
「字幕」は英語で「キャプション:caption(さし絵の説明、映画の字幕などの意)」といいます。
テレビの字幕放送には、「オープン・キャプション」、「クローズド・キャプション」の2種類があります。
「オープン・キャプション」は、誰がいつ見ても字幕が見えるもの、例えばニュースのテロップ等、常にテレビの画面に表示されているものです。
これに対して、必要な人が必要に応じて字幕が見えるものが「クローズト・キャプション」といわれるもので、聴覚障害のある方や音声の聞き取りにくい高齢の方等が必要に応じてボタンの操作等でテレビの画面に表示させたり消したりできるものです。
この「クローズド・キャプション」の字幕放送では、放送局でテレビ番組の台詞やナレーション等の音声を文字情報(字幕情報)に変換し、映像の隙間に乗せて放送したものを文字放送用のチューナー(デコーダー)で解読してテレビ画面に映し出します。
どの番組が字幕番組かは、新聞のテレビ番組表で知ることが出来ます。とあるのが、字幕番組であることを示します。
クローズド・キャプションの字幕放送を見るには、テレビ用文字放送チューナーをテレビに接続するか、チューナー内蔵テレビが必要です。
地上デジタル放送でも字幕放送を実施しています。アナログ放送でゴーストや電波障害のため字幕が正常に写らないことがあるのに対し、デジタル放送では字幕の乱れが大幅に改善されることが期待されます。また、地上デジタル放送の受信機では文字多重放送が標準装備となりますので、テレビ用文字放送チューナー接続が不要になります。
授業中の要約筆記を必要とする聴覚障害児童に対して、パソコン入力者が遠隔地から要約筆記を行なう仕組みをインターネット上で提供するサービスです。
携帯電話からFAXに送信したり、FAXから送られた情報を携帯電話で受信するなど、FAXと携帯電話等との間の通信を行うことにより、聴覚障害者などがリアルタイムにコミュニケーションを行うことができます。
デジタル機器を使用した筆談や音声技術等で、コミュニケーションをスムーズに行えるようサポートするサービスです。
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原本作成日: 2002年4月1日; 更新日: 2022年3月1日;