地域単位のブロードバンドネットワーク網を生かした聴覚障がい者向けIPテレビ電話総合情報サービス
(平成21年度NICT助成事業)
対象者:聴覚障がい者(ろうあ者、難聴者)/手話利用者、要約筆記利用者
島根県松江市の企業である株式会社会アイ・コミュニケーションでは、2006年に、ブロードバンドのネットワークを活用したテレビ電話双方向告知通信システム「知らせますケン」を開発し、サービスを開始しています。導入実績としては全国で7地域あり、現在3地域でシステム構築中です。1地域あたり1000台を越えるテレビ電話端末を地域の各世帯に同時導入するという全国にもまだ先例のない事業を展開しています。
知らせますケンはNTTの端末であるフレッツフォンを活用しつつ、お年寄りにも扱いやすいインターフェースを独自に開発しています。
本提案の骨子は、「知らせますケン」のシステムを、聴覚障害者向けにカスタマイズし、地域単位での聴覚障害者向けテレビ電話総合情報サービスを行うというものです。
端末のソフトに関しては、手書きや手話動画のやりとりが容易なインターフェースの開発を行います。
また、知らせますケンが得意とする「告知サービス」機能を聴覚障害者向けに活用し、耳が聞こえないことを前提とした手話動画や、文字、画像による日常生活、災害情報など、様々な情報サービスを受けることができるようにします。
さらに、聴覚障害者と健聴者、聴覚障害者と聴覚障害者の双方向コミュニケーションを可能にすることにあります。聴覚障害者には、ろうあ者、難聴者がおり、コミュニケーション手段としては、人によって手話、要約筆記のいずれか、または双方が必要ですが、そのいずれにも対応したシステムを目指します。これによって、地域の手話通訳ボランティアや、要約筆記ボランティアと遠隔地での連携も可能となります。
知らせますケンがすでに導入されている島根県松江市の島根町を含む、松江市全域をモデルにし、市内の聴覚障がい者10人程度、さらに公的な施設等として、市民センター、福祉相談窓口、地域センター、市役所本庁、携帯ショップなど30施設程度にテレビ電話端末を配置する一方で、ネットワークサーバーの構築や、地域の聴覚障害者向け情報配信センターを設置します。
端末のインターフェースは、知らせますケンで従来に使用しているものをベースにしながら、聴覚障害者向けにカスタマイズします。
行政や、消防署、聴覚障害者センター、ろうあ連盟、聴覚障がい者協会等からの各種の案内や緊急情報を、知らせますケンのシステムに載せて定期的に配信します。個人ユーザーは、得たい情報の相手先を選択できるようにします。
定常的な情報源としては、地元ケーブルテレビによる地元ニュースなどを材料として、文字情報化したデータや、手話通訳した動画像を提供していきます。
また、手話動画をサーバに保存した後、知らせますケンでその動画を任意に再生させるなどの発展的なサービスも検討します。
本システムの中では、代理電話サービス等との連携も行い、テレビ電話の利用価値を総合的に高めるようにします。
これらのサービスに対して、ユーザーへのアンケート調査を行い、サービスの改善方策を検討します。
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原本作成日: 2009年12月25日; 更新日: 2022年3月3日;