日本語字幕付きの邦画も少しずつ上映されていますが、上映日時が限定されています。全国で上映される映画でも、字幕を付けた映画を数本しか用意していないためです。聴覚障害のある人は決められた上映日時にしか字幕付きの映画を見られないことになります。
一方、たまたま字幕付きの上映を見た人たちからは、邦画なのになぜ字幕が付いているのかという意見も出てきます。また制作者側でも、映像に日本語字幕をのせることを嫌うことがあります。DVDの場合、字幕のないDVDに発売後に字幕を付けるように署名活動をして交渉しても、DVDの発売元が一度発売されたDVDに新たに字幕を付けることは、まずありません。それは字幕制作のコストと制作方法にあります。DVDの字幕はその発売元が費用負担をしています。パッケージの字幕は一字一句間違わないように細心の注意を払ってつくるので校正するのも大変ですし、時間もかかります。その制作に大きな負担がかかるのです。聴覚障害者用字幕を付けるかどうかは、発売会社、制作プロダクションの意向が大きいのですが、一部監督の判断によるものもあります。たとえば東宝が発売している作品や山田洋二監督の作品には日本語字幕が付いています。アニメは、スタジオジブリや手塚プロの作品は、すべて字幕があります。
また、字幕が付いて上映されていた邦画の場合でも、その作品すべてに字幕が付くとは限りません。なぜならテレビ放送されるときはテレビ局が、DVD化するときは発売元、ネット動画では配信元と、メディアの送信元が変わるごとに作り直すことが多いのです。そのメディアごとに送信サイドの会社が違う場合、日本語字幕データがあるのに連係出来ず、字幕が付かなくなるのです。
このような構造を変えていかない限り、追加コストのかかる聴覚障害者用字幕付きの映画は増えていかないのではないかと思います。
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原本作成日: 2008年5月20日; 更新日: 2019年8月20日;