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特別支援学校を対象にICT機器を活用した遠隔部活動指導を実施

3 遠隔部活動指導の成果と解決したい3つの課題

遠隔部活動指導では、どのような成果があったのでしょうか。

松山:専門的な技能トレーニングを遠隔指導で行い、やり投げ選手の記録が飛躍的に伸びました。遠隔指導を行う前に測定した練習記録(33m34cm)や大会の公式自己記録(37m64cm)を大きく上回る43m50cmを記録しました。

記録の向上は、技能が改善したことが大きな要因だったとおもいます。指導前は野球のように肘を使って投げていたのですが、指導後はカーブを描くようなフォームで体全体を動かすことで力強くやりを投げることができるようになりました。

また、遠隔部活動のない日に、運動部の顧問の先生方にフィジカルトレーニングの指導を生徒は受けていたので、そのような現地指導と遠隔指導の連携が今回の記録の向上に繋がったのではないかと思っています。

他にも、部員が競技を通じて毎時の挨拶や感謝の言葉をしっかり述べるようになり、情緒やマナーの面で成長も見られました。遠隔であっても部活動は部活動なので、このような情緒やマナーに関する視点も大事にしたいところです。

指導前後に記録したやり投げフォームの画像

指導前後に記録したやり投げフォームの画像

現段階で、遠隔部活動指導にはどのような課題があるでしょうか。

松山:大きく分けて3つの課題があります。1つ目は「多人数指導への対応」です。現在は、マンツーマンで指導していますが、将来的に1対10のような多人数指導への対応を考えています。これには、自動追尾技術を更に発展させて多人数に対応できシステムの開発や、音声通信を複数のデバイスで連携・共有できるシステムの開発が必要になります。

2つ目は「生徒のニーズに応じた遠隔部活動」です。競技力の向上を目指す生徒と、スポーツを楽しむことを目指す生徒では、スポーツを行う目的が異なります。そう言った生徒のニーズに応じた部活動を提供できるように、今後、部活動の制度自体を整えていく必要があると思います。

3つ目は「様々な生徒の障害に配慮できる指導者の育成」です。例えば、知的障害には段階がありますが、障害の度合いが異なれば、配慮するべき内容も変わってくると思います。また、一人一人の個性によっても配慮するべき点が異なってきます。そう言った意味で、様々な生徒の障害に配慮できる指導者の育成も、今後は課題であると考えています。

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