最近は、タブレット端末やスマートフォンも普及していますが、利便性の変化をどのように感じていらっしゃいますか?
上田:特にスマートフォンは、画期的な発明だと思っています。これまでパソコンでは、視覚障害者向けのソフトウェアをインストールして、機能を追加させなければいけませんでした。iPhoneが発売されて驚いたのは、アクセシビリティ機能をカスタマイズすることで、1台あれば機能の追加なしで、わずかな設定だけで視覚障害者も使えることでした。たとえばですが、カメラを向けると物体を認識して、「テーブルの上に青いペンが乗っています」というように、音声で読み上げてくれるアプリがあり、とても画期的だと感じました。
視覚障害者の自立を後押しするツールになり得ると。
上田:そうですね。たとえば、これまで誰かに読んでもらわないといけなかった文字情報や目の前の事柄も、スマートフォンさえ持っていれば、自分一人でも理解することができるようになりつつあります。自分でできることが広がったと思います。視覚障害者として、一人でできることが増えるというのは、自立して生きていける自信につながります。
ICT端末は最近普及したツールということもあり、たとえば世代によって使い方の習得を困難に感じてしまうこともあるかと思います。実際に支援を通してどのようにお感じになりますか?
上田:やはり突起がついたボタンを押して機械が動くことに慣れている世代の方たちは、一つ一つの手順を応用することが難しいケースが多いかもしれません。ICT端末の特徴を理解して、使いこなしていただくためには、説明する側の工夫が必要だと思います。コツとしては、ICT端末ができることとできないことを、分かりやすい言葉で説明することだと思います。