ベッド脇に設置しているマイトビーで、
友人に「元気だった?」と尋ねる女性
マイトビーの活用シーンについて教えてください。
伊藤:沖縄のある女性は病気で発語が困難になり、家族や友人とのおしゃべりができず落ち込んでいらっしゃいました。そこでマイトビーを試していただいたところ、視線入力した言葉をマイトビーに読み上げさせて再び会話ができるようになったのです。
マイトビーがユーザーの声代わりになっているのですね。
伊藤:ある男性は夫婦げんかができるようになったと言っていました(笑)。マイトビーを使う前は、奥さまが文字盤の上で指を動かし、言いたい文字のところで男性がまばたきしてメッセージを伝えていたそうです。ただし、この方法だと一つの単語や文にとても時間がかかるため会話があまり長続きしなかった。ところがマイトビーがあると感謝の気持ちや、ときにはちょっとした軽口も長文で伝えられるようになったそうです。
メニュー画面には文字入力だけでなく、
インターネットやSNS、音楽プレイヤーなどのアイコンも並んでいる
文字入力や会話以外にはどんな使い方がありますか?
伊藤:インターネットで食事のデリバリーを頼んだり、麻雀や囲碁のオンラインゲームを楽しんでいる人もいます。
関連製品「トビーえくすぷろあ」を使い、視線入力でゲームを楽しむ3歳の女の子(動画ファイル)
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文字を読めない小さなお子さんの場合は、絵が中心のゲームを楽しめます。情報を目や耳から一方的に受け取るだけでなく、自分から能動的に外の世界に働きかけ学習できるのは、マイトビーを使う利点ではないでしょうか。
駅前にいる車椅子の女性。
トビー社の視線入力装置を付けたノートパソコンを使っている
伊東:また、マイトビーのようなPCと視線入力装置の一体型以外に、視線入力装置だけの製品「PCEye Mini」(ピーシーアイミニ)があります。
市販PCに取付ければ、ご自分のPCで視線入力が可能になるデバイスです。ボールペンサイズの小ささで持ち運びに適しています。「マウスカーソル移動」「ダブルクリック」「右クリック」「ドラッグ」「スクロール」「キーボード入力」が、すべて視線だけで可能です。
また、PCも高いスペックは不要です。Windows7以降のOS、接続端子もUSB2.0で大丈夫。視線用のソフトと一緒に使うと、さらにスムーズな視線入力が可能になります。
マイトビーを見つめる藤田正裕さん
伊藤:マイトビーで仕事をこなすユーザーもいます。ALS患者の藤田正裕さんという男性は、一般社団法人END ALSの創設や、著書「99%ありがとう」で知られている方です。目の筋力が今よりも強かったころにマイトビーを使っていて、仕事の資料作成やメールにマイトビーを活用してくださっていました。ほかにも、仕事を続けたいという想いでマイトビーを使ってくださる人は多いですね。