開発にあたり、苦労されたのはどういった部分でしょうか。
一番大変だったのは、点字を点字として成立させる、という部分です。実はプロトタイプを視覚障害者の方に触ってもらったとき、「これでは読めない」と言われてしまったんです。
実は点字には規格が2種類あり、僕はデザインの際に視覚障害者の方の間で一般的でない方の規格を参考にしてしまっていたんです。結果、そもそも点字として読むことができないという事態に。視覚障害者の方が点字に触れた時に「読みやすい」という感覚は僕には正確には判らないので、専門家の先生や視覚障害者の方にご協力いただきながら、”点字として”ちゃんと読めるように改善していきました。
「Braille Neue」を初めて拝見した時、見た目もおしゃれだなと感じました。機能面だけでなく、デザイン面のこだわりも伺えますか?
最初は単純に、「点を線で繋いだら文字になるかもしれない」という程度の軽い気持ちでデザインしましたが、本格的に検討を始めてからは可読性を追求するために様々なデザインパターンを試しました。
「Braille Neue」の「I」は左下が跳ね上がったような少し変わった形をしているんですが、「晴眼者も読むことができる点字」というコンセプトを正しく伝えるためには点字に文字をピッタリ重ねたデザインにするべきだと考え、工夫した部分の1つです。
苦労したという「I」は頂いた名刺にも
「Braille Neue」は現行のバージョンでほぼ完成形だそうですが、視覚障害者の方から追加で受けている要望などありますか?
点字の「あ」と「A」が同じ記号だということをご存知でしょうか。どのように見分けるかというと、アルファベットなら「外字符」、数字なら「数符」という記号を文頭につけるんです。それと同様に、「Braille Neue」のマーク、つまり「これは晴眼者も読める点字です」という印を作って欲しいという意見をいただきまして、現在推敲を重ねています。これがまた難しいのですが、確かに必要な付加価値だと感じているので頑張ります。
確かに、そのマークの有無によって視覚障害者と晴眼者のコミュニケーションに差が生まれてきそうですね!
「Braille Neue」のカナ文字も、ユーザーからの要望で生まれたという