歩行者ナビゲーション・システムプロジェクトは2015年6月にナビゲーションの試作ができるようにゴールを決め、各工程を設定しましたが、実際は課題克服や検証に時間がかかり、簡単なものではありませんでした。
例えば「空間の地図情報」ですが、屋内外シームレスということで複数にまたがる地図情報をつなげる際に生じる誤差の解消や、設計図にはない家具や什器のリアルタイムな情報の反映など、情報の基盤づくりにおける課題がいくつも見つかりました。また、GPSを使った屋外のナビゲーションではある程度の誤差は許容されるのですが、人を屋内でナビゲーションする場合には階段や扉などの細かな位置を正確に案内できる精度が必要になります。これについては、開発チームのメンバーが何度も現場を実際に歩いて検証を重ね、システムの改善を行いました。また、視覚障害者の方による実証実験では各被験者の歩行速度や歩幅の違いによって精度にバラつきが出るため、それらの個人特性に合わせた解析方法の改善にも取り組みました。さらに日本点字図書館スタッフの方々や被験者になっていただいた視覚障害者のみなさんの協力を得たことで、実際に利用者の方が必要とされている情報を含んだ音声案内を開発することができたと思っています。
システム構成図
研究所内ビオトープでの実験の様子
歩行者ナビゲーション・システムについてのデモンストレーション動画
(動画を見る場合は上の画面の左下の三角矢印をクリックしてください)