みんなに受け入れてもらえるか、ちゃんと利用してもらえるか、抜けている情報はないか……、そんなことを考えていますが、現在の課題として一つ挙げられるのは、すべての人が細かい情報まで投稿してくれるとは限らないということです。トイレの情報であれば、ただ全体の写真だけではなく、L字の手すりがあるか、といった詳細情報まで入れないとバリアフリー情報とは言えませんし、本当は匂いや清掃状況の情報もあってほしいのですが、そこまでは面倒だなと思う人もいるはずです。そういった課題を解消するためには、写真と評価の項目と詳細情報を公開する場所を分けるなど、色々な意見を取り入れて対応策を考えていきたいです。また、経路情報については車での移動情報が入ってしまってはあまり意味がなくなってしまいます。車椅子で移動する場合の経路情報だけ提供したいので、車に乗って移動する場合の情報のようなノイズ情報となるものをどこまで減らすかがポイントですね。
このシステムを開発する中で参考になるのが子育て情報アプリです。おむつ替えの場所や授乳室を探すのは期間限定での苦労なのでそれほど正確な情報はいらないかもしれませんが、車椅子ユーザーのバリアフリー情報はこの先もずっと必要です。細かいことを言えばテーブルの高さが何センチかというところまで知りたいので、七つ道具とまでいかなくても、そんな存在にしていきたいですね。今はスマホを使えば何でもできますから、そのうちスマホ一つで距離や段差もわかるようになるかもしれません。そういう技術も盛り込んで、とにかく楽に細かい情報が集まるようにしていきたいです。個人の経験を楽しく集約させることで、抜けている部分はいずれ埋まり、常に新しい情報に更新されている状態になると考えています。
織田さんからの信頼も厚いプロジェクトの技術責任者・伊藤史人氏〈右〉と知識責任者・吉藤オリィ氏〈左〉