私はこのプロジェクトを推進していますが、私一人ではなく、皆が主体的に関わっていくからこそ、「みんなでつくる」ということが意味をなしてきます。生き甲斐とまではいかなくても、やりがいにつながるようになればいいですね。車椅子の人にとってはなかなかそういった誰かのために何か自分が役に立つ機会が極端に少ないので、このバリアフリーマップに関わることがその人にとって意味があるものになってほしいです。
現在開発中のα版については一般公開の予定はありませんが、今後、一般公開に向けて、学会発表や講演会だけではなく、SNSやグーグルアドワーズなどを使った広報や、病院やリハビリ施設といった車椅子ユーザーが利用する医療機関でのアプローチも検討中です。でも、それよりも車椅子ユーザーのクチコミで広がっていくことが一番理想的ですね。そして、このアプリを通じて車椅子への理解が深まり、それによって、人助けに抵抗がなく自然に手を差し伸べられるきっかけになるようなツールであってほしいと思います。そのためには車椅子ユーザーでない人の参加も欠かせません。車椅子ユーザーが写真をとるのに半日かかるとしたら、健常者であれば数時間で10枚上撮れることもあると思います。写真一枚で助かる人がたくさんいるので、重たく捉えずに軽い気持ちで参加していただきたいです。一つの投稿を通じて、車椅子に対しての異物感が少しずつでも感じなくなっていけば、今の車椅子ユーザーへの視線も変わってくるでしょう。多様性を理解することを身を以て体験することで、それを受け入れられる世の中になってほしいです。
私は二十歳で遠位性ミオパチーを発症するまでは普通に歩き走り回っていましたし、まさか自分が車椅子を使用することになるとは思ってもみませんでした。障がい者の世界はまったくわからなくて、車椅子の生活を受け入れるのにも時間がかかりました。でも、障がい者と健常者の壁を薄くしていく中では、きっと私のそうした経験が生きてくるはずです。そして将来は、これは私の夢でもあるのですが、海外の車椅子ユーザーが日本にたくさん来てくれるようになってほしいです。レディーファーストのように通る人に道をあけることが習慣になっている国では、車椅子も当たり前のように道を譲ってもらえます。日本にはそういった習慣が根付いておらずまだまだうまくいっていない部分もありますが、私の基本的なスタンスとしては、日本が遅れているとか悪いというのではなく、日本人のよい所を生かして、一般の人と車椅子ユーザーの関わり方が変わっていければと思っています。そのときにこのアプリが、特別なことをして特別な情報を得るのではなく、みんなが使っている普通のツールで本当に必要な情報が得られる道具として、多くの人に活用していただけていたらとてもうれしいです。
Googleで打ち合わせをする織田さん
みんなでつくるバリアフリーマップのちらし 1/2
プロジェクト概要
みんなでつくるバリアフリーマップのちらし 2/2
役立つ場面の紹介、これまでの取り組み、主なプロジェクトメンバー