ガイドラインを作るにあたって、1000名以上の障害者にヒアリングを行いました。障害者スポーツなどを通じて出会った人や団体、さらにその紹介で、障害の内容や障害の程度に偏りがないようにヒアリングをかけました。「どんなことで電話をして、何が解決しなかったのか」、「どんなことで悔しい思いをしたか」などを質問しましたが、みなさんたいへん協力的で、積極的に話してくださいました。もちろん、「こんなふうに対応してもらって良かった」という声も集まりました。
このヒアリング結果を立命館大学先端総合学術研究科の松原洋子教授に分析していただいて完成したのが、このガイドラインです。
『高齢者・障害のある人に対するユニバーサル・テレコミュニケーションガイドライン』
(株式会社パステルラボ策定 平成20年10月、改定平成22年10月)
● 相手が聞こえにくい・見えにくいことを察する
● 適切な速度で話す
● 適宜、相手の理解を確認する
● 適切な声の大きさ、高さを確認しながら話す
● 明瞭で簡潔に話す
● 視覚に依存しない表現方法を用いる
● 位置や方向を示すときには、基準を定める
● 移動やメモを取ってもらうとき、相手の状況を把握する
● 分かりやすい言葉を使う
● 順序として、話の全体を示したのち細部に移る
● 互いに尊厳を持って接する
イーパステルはこのガイドラインにしたがって解説しています。
たとえば、ガイドラインひとつめの項目「相手が聞こえにくい・見えにくいことを察する」について、読み上げソフトの音声が聞こえたら「視覚に障害がある人かもしれない」と思ったり、何度も聞き返されたら、「もしかしたら聞こえにくいのかな・・」と気づいたりすること。イーパステルの最初はこの部分から解説しています。まずはオペレーターが相手の状態を推測したり、気づいたりすることが大切です。事前に障害のある方への対応を学んでいるので、気づければ適切な対応が取れます。
「適切な速度で話す」という項目については、たとえば、耳がきこえにくい人から問い合わせがあり、その人が何度か「え?なんですか?」と聞きなおすような場面で、オペレーターはつい、「い・ち・ば・ん・う・え・の・ボ・タ・ン」と、一音一音区切って説明することがあります。これは逆に、聞き取りづらくなってしまいます。「いちばん / うえの / ボタン」と単語の区切りで間を取ると、ぐっと聞き取りやすくなります。
「位置や方向を示すときには、基準を定める」という項目については、視覚障害のある人の正面を時計の12時の方向として、時計の文字盤を例に説明する方法を解説しています。この方法をクロックポジションと言います。「右」「左」と伝えたときに、相手が混乱していたら、クロックポジションを思い出せば、相手にわかりやすい方法で伝えることができます。