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現在位置: トップページ > トピック記事 > 情報バリアフリー全般 > 「共遊玩具」というユニバーサルデザイン

一人でも多くの子どもたちが楽しめるおもちゃを
〜「共遊玩具」というユニバーサルデザイン〜(3/5)

3. 開発にあたって苦労されたことはありますか

私は93年にトミーに入社して、最初は社内報作りや、開発のためのトレンド情報収集などの仕事をしながら、共遊玩具の推進活動にも携わっていました。でも、そこでは実際の開発現場の事情があまりよくわからず、なかなか有用な提案ができないと感じるようになりました。あるとき、会社で「今の仕事は自分に合っていると思うか」というアンケートが実施され、「共遊玩具をもっと推進するために開発部署へ行きたい」と書いたのです。そうしたら偶然にも、私のような人材が欲しいという希望を出した部署があり、幼児向けおもちゃを開発するチームに配属になりました。

そこで実感したのは、「おもちゃというのは、こう作りたいと思ってもなかなか実現できないことがある」ということ。例えば、あるおもちゃの本体とその付属部品を紐でつなげておけるようにしたいと考えました。そうすると、部品が無くなりにくくて、目が見えない子どもだけでなくだれにとっても便利です。でも、おもちゃに使用できる紐には安全基準で制限があり、子どもの首を一周してしまう以上の長さにはできないのです。安全基準を超える長さには作れない、でも短くては遊べない。その時は結局、三つの小さな付属部品だけを紐でまとめておけるようにしました。

また、同じ形状で色だけが違う部品に貼るラベルの隅を、それぞれハート型とか星型などの可愛い形に切り抜いて、触っても部品の種類がわかるようにしたかったのですが、できなかった。このおもちゃは1.5歳から遊べることになっていて、そういうおもちゃは子どもが口に入れることが前提なんですね。だから、ラベルの貼り方にも規定があり、少しくぼませた枠の中にピシッと貼り込まなくてはならない。そのラベルを切ってしまっては、そこから水が入りこんでラベルが剥がれてしまう危険性があるのです。

また、おもちゃには流行を追う物が多いので、その開発に掛けられる時間はとても短いんです。いくらよいアイディアがあっても、そのために開発スケジュールを遅らせることはできない。アイデア提案にはタイミングが非常に大切だということも、ここで勉強しました。逆に、タイミングを逸しなければよい結果につながることもあります。あるおもちゃのスイッチはボタン式で、押す度にON・OFFが切り替わり、「ON」になると明かりが着くので、目で見ればわかります。この場合、「ON」の側に突起を付けるという通常の方法は使えません。これは音の出るおもちゃだったので、スイッチにも「音」を入れることにしました。「ON」になると「始まり」の楽しい音、「OFF」には「終わり」を想わせる音を入れることで、目の見えない子どもたちにとって扱いやすいばかりでなく、おもちゃ自体の楽しさもアップしたと思います。

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