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ウェブ・アクセシビリティの国際標準化を考える(4/5)

〜アクセシビリティコンサルタントが見る日本と海外の状況〜

4. アクセシビリティガイドラインの国際標準化について

ウェブサイトを制作するためには、W3Cの仕様群に代表される国際的な標準規格やJISなど日本独自に策定されている指針に沿う必要があります。ところが、アクセシビリティのガイドラインにおいては、日本のJISと米国のリハビリテーション法508条などのガイドラインに差異があるため、ときに不都合なことが生じています。

たとえば、ウェブ制作に利用頻度が高い「Dreamweaver」は、日本語版も元はアメリカで作られたものなので、日本のJISが定めた独自のチェック項目については、最初はチェックできませんでした。メーカーのマクロメディア(現アドビシステムズ)では日本語版だけに必要なJIS独自のチェック機能を最終的に追加してくれたので、JISのガイドラインでチェックできるようになりました。しかし、1年から1年半のタイムラグがあったので、制作者は待たなければなりませんでした。その間アクセシブルなサイトが作られにくい状況だったとも言えるわけですから、ユーザーにとってもいいことではありません。メーカーにとっても余分な費用が発生したわけで、これはどの立場にとってもマイナスの状態でした。

もしガイドラインが国際間で共通になれば、英語版を翻訳した日本語版がリリースされたときに制作者も手軽にチェックできるようになるのです。そうすれば、アクセシブルなサイトがより多く作られる可能性も高まるわけで、制作者にとってもユーザーにとってもメリットがあり、メーカーも余計な時間とコストをかけずにすむわけです。

日本は海外に向けて積極的にアクセシビリティ対応について国際協調を呼びかけています。もともとマーケットが狭いところに国ごとにローカルルールができてしまうと、アメリカ市場で売れる製品が他の国では売れない、日本で売れる製品がアメリカでは売れないなど、ビジネスレベルで障壁を生むことになります。世界共通の仕様になっていればいるほどマーケットが大きくなるので、さまざまな企業が参入してきて競争が激しくなり、結果的にはコストが下がって、いい流れができるはずです。

現在、JISとW3Cが歩み寄って、ガイドラインの差異をなくした国際協調を目指しています。そのために、W3Cの新しいガイドラインであるWCAG 2.0の策定にもかかわらせていただいています。

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