高齢者向けに活用が広がる可能性はあるでしょうか。
仲村:回復期リハビリテーション病棟にて、高齢者の方に「デジリハ」を適応しているケースもあります。プロジェクターで映し出したデジタルアートが動く様子を目にした認知症の方が、その動きを追いかけるように自発的に体を動かすようになったケースもあるようです。その方を担当していた作業療法士も私たちも、なぜそのような反応が起きたのか、正確な理由はまだ検証中です。ただ、デジタルアートには人の行動を喚起する要素があるということだと思います。また、脳卒中でリハビリをしている高齢者の中には、リハビリに関する説明を理解しづらいと感じる方もいらっしゃいます。そのような方にも、直感的に操作できる「デジリハ」は効果的だと考えています。
「デジリハ」の利用で障害者の福祉はどのように向上すると思われますか。
仲村:私たちは、リハビリをする当事者の主体性を最も大切にしています。そして、「子どもが泣いてでもリハビリをやる」といったこれまでの風潮を変えたいと思っています。私たちは、障害のある人たちが自分でリハビリをしたいと思い、具体的な方法を選べる福祉を実現したいと考えています。将来的には、リハビリの枠を超えて、教育・就労などの障害児者の人生に伴走するサービス展開も視野に、「デジリハ」の機能を拡充していきたいです。