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視覚障害者の自由な歩行を叶えたい。世界初の靴装着型ナビゲーションシステム「あしらせ」

1 スマホの測位情報とウェアラブルデバイスとの通信で歩行をアシスト

最初に、「あしらせ」の仕組みについて教えていただけますでしょうか。

千野歩さん(以下、千野):「あしらせ」は、スマートフォンのナビアプリによる案内と、スニーカーなどの靴に装着するウェアラブル型デバイスで構成するナビゲーションシステムです。ウェアラブル型振動デバイスは、動作を感知するための装置で靴の外側に露出した「モーションセンサ」と、靴の中に入れる「柔らく細い形状の振動モーターが入った振動部」に分かれています。

モーションセンサとスマホアプリがBluetoothの通信で情報をやり取りします。衛星システムから取得した測位情報を活用し、スマホアプリを介して独自のナビゲーションを生成します。そのナビゲーションは、Bluetoothの通信でモーションセンサの振動モーターと連動し、伝えたい情報に応じて、つま先・甲・側面・かかとなど部位に分けて振動させたり、テンポで歩行をナビしたりという指示を送ることができます。

オレンジ色の装置が「モーションセンサ」。スマホから位置情報を受け取り、かつ足の動作情報を伝える、「あしらせ」に不可欠なデバイスだ
オレンジ色の装置が「モーションセンサ」。スマホから位置情報を受け取り、かつ足の動作情報を伝える、「あしらせ」に不可欠なデバイスだ

黒い部分が靴の中に入る振動部
黒い部分が靴の中に入る振動部

つまり、スマホのナビアプリとウェアラブルデバイスとの組み合わせで、歩行をサポートするということでしょうか。

千野:はい、そうです。「あしらせ」は全盲の方とともに、視覚がわずかに残っているロービジョン方の利用も想定しています。ロービジョンの方は、白杖を使いながら単独歩行するケースが多いのですが、スマホやタブレットの音声によるルート案内に集中しているため、安全確認を疎かにしがちです。また、たとえば「1m先を左に曲がる」と音声で案内されたときに、すでに角を曲がっているにも関わらず、曲がりきれたのか判断をつけられずに、同じ場所をぐるぐるしてしまう、という事態も少なくありません。

「あしらせ」で補うことができるのは、このような歩行時のナビゲーションに少し足りない部分です。「あしらせ」は、東西南北の方角ではなく、いま自分が向いている方向に対してどの角度へ進めばいいかを案内できます。また、振動を与える部位やテンポによって、直感的かつ無意識的に誘導情報を把握できるため、安全確認に意識を振り向けることを可能にします。

「あしらせ」の仕組みを図解にしたもの
「あしらせ」の仕組みを図解にしたもの

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