上田さんは、日本点字図書館の職員として働いていらっしゃいますが、普段はどのような仕事をされているのでしょうか?
上田喬子氏(以下、上田): 日本点字図書館は、点字図書や録音図書の製作、貸し出しをはじめ、視覚障害者向けの生活用品の販売など、視覚障害者の方の生活を豊かにするための事業を行っています。その中で、私は2017年に新設された「自立支援室」に所属し、視覚障害者の人が活用できる公的な自立支援サービスを提供しています。具体的には、日々の困りごとを伺いながら、適切な訓練を提案するといった業務になります。
視覚障害者の方に寄り添いながら、自立を促すということですね。
上田:そうですね。たとえば、「失明してしまったから点字を学びたい」と相談に来られる方がいらっしゃいますが、よくよくお話を伺ってみると、単に点字を学びたいのではなく、これまで通り情報を手に入れたいのだと気づくことがあります。つまり困っているのは、文字を通した情報収集がこれまでと同様に行えないということ。そこで、たとえばインターネット検索であれば、画面に表示されている文字を読み上げる機能があることをお伝えします。このように、一人ひとりのお話を伺って、何が必要かを見極めながら、自立支援プログラムを作成していきます。なかでも、私は主にICT関連の指導や点字訓練をメインに担当しています。
ICTの活用方法を分かりやすく教えることで、視覚障害者の自立を支援する上田さん