シンプルなデザインは補聴器には見えづらく、年代や性別を選ばない
補聴器という製品があるにもかかわらず、earsopen®を開発された動機はどこにあったのでしょうか?
謝:骨伝導ではない一般的な補聴器は、集めた音を増幅して聴こえをサポートします。つまりは、小さいアンプを耳に付けているようなもの。話し相手の声だけでなく、通りがかりの人の声や、食器がふれあう音など、ありとあらゆる音が等しく拡大され鼓膜に響く。補聴器を付けたことのない人が想像するよりもはるかに苦痛で、耐え難いといいます。
また、耳をふさぐから夏は汗で蒸れるし、耳だれの出る人は液体や膿が詰まって不快です。
そこで、耳を「オープン」にする聴力補助機器を作りたいと考えた。だから「earsopen®」なのです。
同時に、いかにも補聴器然としていないユニバーサルデザインを志向しました。聴力補助機器への偏見をなくし、意識のバリアフリーも実現したかったからです。メガネをかけている人を見たとき、メガネの形やデザインには注目しても、その人の視力の悪さを特別に意識しませんよね? 聴力と補聴器についても、同じような意識を広げたいと思っています。
聴力補助機器に対する、世の中の見方を変えていきたいということですね。
磯部:同時に、「聴力は視力と同じように消耗品である」という意識も広まってほしい。近年は若い人のいわゆるヘッドホン難聴、大音量で長時間にわたり音楽を聴き、鼓膜が傷つき聴こえがだんだんと悪くなるケースも増加しています。earsopen®ならば鼓膜を使わないから、聴力を保つのにも役立ちます。