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聴覚障がい者に情報提供するスマートグラス(3/4)

3 字幕などにも広がる聴覚障がい者サポート機能

  一斉に避難するには、避難情報に関する文字や画像を一斉に提供しなければならないことになりますが、静岡福祉大学で実証実験を行った2012年当時は、数台レベルの情報配信しかできませんでした。その後も、その手段をどう実現するかという検証を継続してきました。そして、2014年2月に、我々はオペラの日本語字幕を観客に提供するという共同実証実験にも取り組みました。オペラ公演と聴覚障がい者支援、この2つは全く関係がないように思われるかもしれませんが実は違い、聴覚障がい者への支援情報の一斉提供につながるものでした。劇場で公演されるオペラの外国語歌詞などの日本語訳は、通常ステージ横の電光掲示板に表示されます。観客の方はステージを見ているときは文字が見えませんし、文字を見ているとステージが見えず、絶えず首を振ることになります。新国立劇場でドイツ語のオペラ公演の際にMOVERIOに日本語字幕を表示させて、邪魔にならない文字の出し方などの検証を公益財団法人新国立劇場運営財団、株式会社電通国際情報サービス、Zimaku プラス株式会社と共同で行いました。文字については表示する視野を狭くして下に出し、少し視線を落とせば文字が見えるように配置しました。この時は翻訳された字幕情報を20人の被験者に見てもらいました。情報を飛ばす電波のアクセスポイントを増やせば、何百人という多くの人も見ることができます。ステージと字幕が同時に見えるので、より自然で見やすい、使ってみたいとの高評価をいただきましたが、現在のヘッドセットを2時間つけ続けられるかという課題もいただきました。

  文字・画像情報を一斉に、見やすい形で表示できるこのシステムは、聴覚障がい者の授業支援にも使えるのではないかと考えています。現在でも、先生の声をマイクで拾って遠隔のボランティアの方などがタイピングして、生徒のスマートフォンなどに表示する、などの聴覚障がい者の授業支援を実施しているということをNPO法人の方から伺っています。この文字化をタイピングではなく、音声認識機能でダイレクトに変換することを考えていて、実用化に向けて動き出しているようです。

  また、字幕を表示する機能は、映画館で耳の不自由な方が、邦画を見る時にも使えるのではないかと思っています。映画自体に字幕を入れると数千万円かかるそうですが、例えば映画を見る前に、その映画の字幕情報をアプリケーションにダウンロードしておき、映画館で使えば、コスト的にも安くなります。MOVERIOはアプリケーションによりマイクから拾った声や音を認識する機能にも対応できますので、一つの方法としてシーンの変化などを音で認識すれば、字幕を出すきっかけにもなります。この邦画の字幕サポートも既に実証確認が終わっています。

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