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点字を打つように文字入力ができるスマートフォンアプリの開発(2/4)

2. 「ヘレンケラーホン」から「IPPITSU」へ

ヘレンケラーホン」とは、筑波技術大学の佐々木信之氏と群馬工業高等専門学校の大墳聡氏との共同研究により開発したものです。電話回線を介して送られてきた信号を振動の体表点字にする装置を「ポケットビーブル」と言います。

まずは情報を伝える側が、携帯電話の数字ボタンを点字の6個の点に見立て、点字を入力します。入力された1文字=6点の点字は、「上段」「中段」「下段」の3段階に分けられ、受け手側の「ポケットビーブル」という補助器具のふたつの振動子が順に3回振動します。振動には「左のみに点がある(左のみ震える)」「右のみに点がある(右のみ震える)」「左右両方に点がある(両方震える)」「どちらにもない(トンと短く震える)」という4種類の振動パターンがあり、その振動を識別することで、点字を読むことができるという仕組みです。

前述のように、全身の体表で読むことができる点字のことを「体表点字」と言いますが、この振動パターンが、その後の「IPPITSU」や「スマート点字」にも通じる、基本的な原理になっています。

「IPPITSU」は、タッチパネル上で、点字の書き方により、点字の64パターンを一筆書きで入力することができるスマートフォン向けのアプリケーションです。点字は通常の文字に対応していますから、点字の入力は同時に通常の文字の入力でもあります。こちらは群馬工業高等専門学校の牛田啓太氏と、阿佐美聡士氏(現・筑波大学)との共同開発で誕生しました。

使い方はシンプルです。前述のスマートフォンの枠の4個の角の内側のタッチパネル部分を点字の上下の段の4点のソフトボタンのスポットとします。そして、両側の枠の内側で上下の段の中間を点字の残る2点のスポットとします。これで、6点になります。入力は、タッチパネルの点字のスポットに指が触れてから離れるまでに通過したスポットの形で、文字を入力するというものです。指を画面から離すと同時に点字の形、つまり文字が決定されます。点字を一筆で入力するから、「IPPITSU」の名にしました。指先がスポットを通過するごとに振動がありますから、点の位置が分かり、盲ろう者にも利用可能です。入力可能な文字は、平仮名、数字、英字です。点字に対応する通常の文字が決まると、その文字が発音されます。

IPPITSU タッチパネル点字一筆式入力の写真
IPPITSU タッチパネル点字一筆式入力

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