音声による受験が有効であると考えられているのは、中途失明者および文字認知に障害のある学習障害者です。
中等教育段階で失明した受験者は、点字を習得するまでに数年ほどの時間しかありません。しかし点字は、5カ年くらいの十分な練習期間がないと読む速度が早くならないため、中途失明者は結局、点字での受験を断念せざるを得ない、ということになってしまいます。
また、知的能力には問題がないが学習に困難を抱えた人たち、いわゆる学習障害者の中には、視覚的には文字が見えるけれども意味として認知できない人たちがいます。読字障害(ディスレクシア)と呼ばれる人たちで、最近しばしばニュース等でも取り上げられるようになってきました。現在では各学年の児童・生徒の2.5%、40人に1人は該当するといわれています。彼らは音声ならば意味が理解でき、問題を解くことができるため、試験をはじめとする学習の現場では、どうしても音声というものが必要になってきます。
中途失明者および読字障害者に対して、センター試験の受験機会を保障するということの意義は大きいと考えています。高等教育の門戸が開かれていることを明らかにすることによって、学習意欲の増進にもつながりますし、学習機会を拡充することにもなります。このような状況を鑑み、どうにかしてセンター試験で音声出題を実現しなければと、ある種の使命感を持ってこれまで開発を進めてきたわけです。
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原本作成日: 2010年2月8日; 更新日: 2019年8月23日;