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実用的な福祉ロボットのさきがけ
食事支援ロボット「マイスプーン」の開発(2/6)

2. 食事支援ロボットを開発されたきっかけは?

私が最初に配属となったセコムIS研究所は1986年に設立され、当初から、中心事業であるセキュリティをはじめ、防災、メディカル、位置情報サービス、情報系サービスに関わる新しい技術を中長期的な視点をもって研究していました。

私は工学部機械学科専攻で、大学時代にボランティアサークルに所属し、車いすの外出の支援ボランティアや知的障害をもった方と交流していましたので、自分の専門性を生かして、何か製品を開発したいと考えていました。

食事支援ロボットの研究・開発にあたっては、まず障害をもった方や介護現場の方たちにヒヤリングさせていただきました。しかし私がまだ若く開発経験が乏しかったこともあり、「どのようなロボットがほしいですか?」「どのような商品がほしいですか?」などというとてもストレートな質問をしてしまいました。当然、そのような漠然とした質問の中から出てきた要望の中には、とても技術的に実現できないものもありました。たとえば、「おむつ交換するロボットがほしい」という要望です。介護現場にとって切実な要望でしょうが、残念ながら現在の技術では実現はかなり難しいと考えています。高齢者は皮膚が弱くなっていますから、ロボットが皮膚に直接触れて、傷つけてしまう恐れもあります。

その中で「からだが不自由でも、自分で食事ができるようになったらいい」という要望がありました。食事は人間が生きていく上で必要不可欠なものであり、生活の基本です。家族や介助者に食事の介助を受けている方の中には、自立して食べることを切望している方もいらっしゃいます。

食事支援ロボットは、前例がないものなので、はじめは技術的に可能なのかと悩みました。「マイスプーン」は1991年に研究を始め、医療の専門家や障害者の方々に協力をお願いしながら、さまざまなテストと改良を重ね、2002年発売開始となりました。
「研究はそれができるということがわかっているだけでも、安心感が生まれてかなりスムーズにいく。できるかどうかわからない見通しが立たない段階にいると、研究は途端にむずかしくなっていく」と言ったエンジニアがいましたが、まさにその通りだと思います。

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