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障害を持つ人のためのIT・コミュニケーション支援サイト「こころWeb」 (2/7)

2. 「こころWeb」を始めたきっかけは何ですか?

最初は「こころリソースブック」から

「1987年に『障害者のための小さなハイテク』という自作のマニュアルを作ったのですが反応が良くありませんでした。このままではハイテクの利用情報が広がらないと思っていたところ、1992年にアメリカに1年間行くことになりました。ウィスコンシン大学マジソン校にトレースセンターという、世界の電子情報技術を用いた障害支援の中心的な研究センターがあるんです。

そこに滞在していて驚いたのが、クリニックのスタッフがあまり電子技術の知識がないことです。それでも患者さんがくると、トレースリソースブックという大きな電話帳のような本をめくりながら、『この子にはどこの会社のこういう装置とこういうスイッチを組み合わせるといいよね』といったような商品知識で会話をしています。しかもその商品が流通していることに感銘を受けました。こういうものがあると知ることができ、買うことができるなら、技術に弱い学校やリハビリセンターの先生でも利用することができます。それで日本に帰って、1993年頃から、日本版のこころリソースブックというのを編集しはじめました。」

製品情報から使い方のサポート、支援者の育成へ

「でも、リソースブックができたからといって、みんなが機器を使えるようになるかというとそうじゃない。製品が分かっても製品の使い方が分からないということで、その使い方をサポートする人を養成しなくてはいけないだろうと考えました。企業でもWebを持っているところが少なかった1996年、日本IBMのコンテンツとして、“こころリソースブック”をWeb化しようという話になりました。そこで名前も“こころWeb”に決定。

一方、2000年の政府のデジタルデバイド(電子情報格差)解消政策を受けて、学習体系を作り上げ、現在は福祉情報技術コーディネイターの養成として資格検定試験をe-AT利用促進協会と一緒に運営しています。そのベースとなる知識を提供する形になっていますね。」

「こころリソースブック」の表紙
「福祉情報技術(e-AT)製品ガイド こころリソースブック2004-2005年版」
コミュニケーション、コンピュータアクセスを中心としたテクニカルエイド情報
●こころリソースブック編集会 編 (A4判・340頁)3,000円

5人の編集スタッフの写真
「こころリソースブック」編集スタッフ(中央は中邑教授)

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