今後の展開について教えてください。
星野:「ものタグ」に情報を登録する際、スムーズに操作できないという声をいただくことがあるので、体験会などを通じて操作方法を伝えたいと思っています。そして、「ものタグ」を使える場所や機会を増やしていきたいですね。視覚障害者は情報を入手しづらいという問題に直面しています。例えば、バスの利用でも、視覚障害者にとって困難なことが多数あります。バス停にある時刻表に記載されているバスの発車時刻や、バスの乗降場所などを把握することが難しいのです。このように、日常生活における情報のアクセシビリティに様々な壁が存在しますが、「ものタグ」の普及で解決できることは多いと考えています。
直近では、視覚障害者向け神経衰弱ゲーム「遊タグ(読み方「ゆうたぐ」)」をリリースしました。「遊タグ」は4×4のマス目のゲーム盤と、そのマス目に配置する16個の駒から成ります。駒は「ものタグ」そのものを活用しています。
一般的な神経衰弱ゲームでは、カードを2枚引いて同じ数字が出たのか確認しますが、そのままでは視覚障害者が楽しむことはできません。この難点を解消するために「遊タグ」を考案しました。「遊タグ」は2個の駒を続けてスマートフォンでスキャンし、同じ駒であれば「正解」、違っていたら「失敗」と表示され、「正解」すると駒を取ることができ、それが得点になります。タグに登録する情報を変えれば、違うテーマの神経衰弱を楽しむこともできます。このように「遊タグ」は、視覚で認識できる情報をテキストや音声の情報に変えることで遊べるようになります。
これからも、NFCタグの用途を日常生活にとどめず、様々な用途に発展させ、視聴覚障害者はもちろん、誰にでも利用していただけるように取り組んでいきたいです。
視覚障害者だけではなく健常者も楽しめる「遊タグ」