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ホームページのアクセシビリティとユーザービリティ (3/7)

3. ホームページ作成時に必要な配慮は?

ホームページ作成時に視覚障害者、聴覚障害者、高齢者それぞれに対して、どのような配慮が必要でしょうか?

発信者の責任

JISの8341は確かに大きなキッカケになっていますが、これを適用するだけですべての人が利用しやすいHPができるわけではありません。

当然のことですが、HPは発信者が閲覧者に対して配慮して、閲覧者に対して情報を得やすくするという責任を持たないといけません。発信者の自己満足的な視点だけでは自己中心的であって、閲覧者本位(利用者本位)が基本です。ただ、一方で利用者側も声を出さないとだめです。「配慮してもらって当たり前」はちょっと違うと思います。相互に頑張らないといけませんが、最初に手を差し出すべきはやはり発信者側です。利用者本位というのはその人のニーズを理解しようとしなければ実現しません。どういうニーズがあるのか、そのニーズに対してどういう手法で対応するのかを考えればできることです。

例えば、「福祉のHP制作で配慮すべき基本事項」を挙げてみましょう。

  1. 対象者の想定(誰のためのHPか)
  2. 目的の明確化(何を伝えたいのか)
  3. 手段の明確化(どうすれば、よく伝わるのか)
  4. 意思決定(伝えた結果、何を閲覧者に求めたいのか)
  5. 文章表現やデザインの配慮(魅力ある構成にするには)
  6. 付加価値の設定(価値をどうやって高めるか)
  7. 参加の支援(双方向性はあるか)
  8. リスクマネジメント(見落としや例外は無いか)
  9. コミュニティ形成の支援につながるか

※「月刊−福祉」(全国社会福祉協議会発刊)福祉のホームぺージ訪問より

こうした項目を元に話し合いが必要になります。

コンテンツクオリティ

HPはコンテンツのクオリティが最も重要視されるべきものです。なぜかというと、コンテンツのクオリティが保証されていずアクセシビリティだけ高まったとしても、「箱を開けてみたら中に何もなかったとか、リンゴはあったが腐っていた」というように、内容を見て損をしたという事態になってしまうからです。何とかアクセスはしたけれど、結局情報がない。難しい言葉で分からない。何を言っているのか分からない。ということになっては意味がありません。たくさんの人が必要とする情報そのものを提供することが重要です。アクセシビリティも大切ですが、より重要なものはコンテンツビリティだと考えています。
もちろん、コンテンツに価値があったらアクセシビリティが確保されていないと、「缶詰があるのに開けられない」「開けるのに毎回多大な労力を要する」状態になるので、両立させていくことが必要です。

アクセシビリティとユーザービリティ

アクセシビリティとユーザービリティは車の両輪です。ユーザービリティの中にコンテンツビリティが入るのかもしれません。ユーザービリティというのは順番にクリックしていくと目的のところにスムーズに行けるとか、HPの最初のメニューが合理的で分かりやすいか、という部分なので、アクセシビリティに近いのかもしれません。どのあたりまでアクセシビリティというのか判断基準は難しいところです。ロジカル(合理的でわかりやすい)できちんと行きたいところにナビゲートできる仕組みになっているか、単にメニューを少なくしただけなのかなど、アクセシビリティ、ユーザービリティ、コンテンツビリティは、簡単に分けにくい状況です。
ただ、私達が欲しいのは価値のある情報であって、それを得られるためにどれだけ工夫がされているかだと思います。HPの構造が分かりやすく、また各ページの内容も分かりやすく表現または構成されていることが重要です。

各々の障害による対処法は

視覚障害者には、スクリーンリーダーや文字の拡大縮小機能などの支援ツールが適切に使えるようにすることです。音声ブラウザーを使うケースもありますので、冗長な情報をどこまで排除するかも検討が必要でしょう。不必要な情報を受ける苦痛もあるのです。欲しい情報にスムーズに行き着けることが大切です。
聴覚障害者には、音で通知がある場合に、視覚などに変換して訴えてくれる機能が必要です。WindowsのXPなど、ユーザー補助のオプションからサウンド表示を選択することができ、画面の点滅で音声通知が分かるようにできます。音声入力ソフトのドラゴンスピーチ、ビアボイスといったものの利用もあります。認識精度はかなり向上していますが、かなり学習させないと本格的に活用するのは難しい状況です。また、すべての聴覚障害者が手話を使えるわけでもありませんし、中途から障害を持った方だとほとんど手話は使えません。意外と知られていないかもしれませんが、聴覚障害者はコミュニケーションにかなり課題を持つ方が多い状況です。
高齢者は文字の拡大縮小機能が必要です。
知的障害者には、ひらがなの表記とか内容の平易化が必要でしょう。
なお、すべてに共通するのは、内容の充実と読みやすさです。

根本的な部分ですが、情報保証とは何なのかを発信者それぞれが考えて欲しいと思います。中に入りたいのに入り口で止められているような構造はいけません。例えば、視覚障害なら弱視全盲色覚障害という大きなポイントがある中で、それぞれの人達に情報保証するのはどうあるべきかという考え方です。弱視なら字を大きくするとか、全盲なら音声で伝えるとか、その障害特性をよく考えて逆説的に考えていけば対処法は導き出されるはずです。
コンテンツについても、その情報を必要とする方の特性を考えれば、どんな内容や表現方法が適切なのかを判断することができるはずです。

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