今後、プロダクトのウェブアクセシビリティに関して、どのように取り組まれたいとお考えでしょうか?
桝田:ユーザー視点のプロダクト開発は、今後も大事にしていきたい部分です。指標としては、情報通信における機器、ソフトウェア、サービスの情報アクセシビリティを確保・向上するために配慮すべき具体的な要件がまとめられた標準規格「JIS X 8341-3:2016」に則って品質を担保していきます。同時に、ユーザー視点で使いやすいと感じる操作性を実現していきたいですね。完璧なアクセシビリティの達成というよりも、常に改善と向上を続ける状態が理想です。それにより、多様な人が働きやすい環境を作り出し、ひいては日本の労働人口が少なくなっている問題の解消にも寄与できるのではないかと考えています。
辻:障害者の立場からお話すると、障害者が遠慮しなくていい状態を作りたいです。障害者が皆と同じ条件でアクセスできるシステムが浸透することで、社会が作ってしまっているバリアを一つでも取り除くことができると思うのです。
また、現状では恐らく「ウェブがアクセシブルになった状態=誰しもがアクセスできる状態」というのが、多くの人にとってのゴールになっていると思います。しかし、私はその一歩先にある「障害者を含めた全ての人がウェブサイトで、自分の目的をきちんと達成できる状態」こそ、ウェブアクセシビリティの実現した状態だと思っているんです。アクセシブルにアクセスできる先にある体験を豊かなものにする、私はアクセシビリティエンジニアとして、それをいち早く実現したいです。