アクセシビリティに積極的に取り組まれている理由や理念について教えてください。
五藤佑典さん(以下、五藤):ABEMAは、インターネット発のマスメディアを目指してスタートしたサービスです。マスメディアになるということは、幅広い視聴者に利用されやすいサービスでなくてはなりません。ABEMAを視聴するすべてのユーザーが同じ条件や環境で、情報を得られる状況を整備することは、マスメディアとして社会的な責任を担うための必然の取り組みでした。「アプリケーションの使いやすさ」という観点でのアクセシビリティはもちろん、「コンテンツのわかりやすさ」という観点のアクセシビリティも考えなくてはいけません。そうした中で、最優先課題は、コンテンツに辿り着くまでのアプリケーションの利便性向上でした。
アプリ開発や動画技術開発を担当するソフトウェアエンジニアの五藤佑典(ごとう・ゆうすけ)さん
具体的にどのような取り組みを実施されたのでしょうか?
五藤:ABEMAのアプリが世の中に浸透してきた2019年頃に、社内で「アクセシビリティタスクフォース」を立ち上げました。これは、ABEMAのデザインや開発に携わるメンバーをはじめ、組織全体でアクセシビリティの考え方を浸透させるための組織です。デザイナーやエンジニアがアクセシビリティを意識できるようにするためには、どのようなビジョンや手法が必要かを検討するために、各部署のメンバーがタスクフォースに加わりました。大きな目的としては、「アクセシビリティという言葉を特別なものでなく、当たり前のようにABEMAのサービスに組み込むこと」です。