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重度身体障がい者の支援用アプリケーション「OAK」(4/5)

4 「OAK」の活用例

 OAKがテレビで紹介されまして、それを見た高齢者施設の方から導入を検討したいという連絡がありました。対象となる高齢の方は、手指に変形があり、足も切断されているためナースコールが押せず、とても不安で夜も眠れないということでした。この方は幸い大腿部がうごかせるということでしたので、病院のベッドにKinectのカメラを設置し、夜中に足で布団を蹴り上げるとナースコールが押される、というしくみをつくりました。ベッドに物理的なスイッチを夜間だけ設置するとなると、手間がたいへんですが、OAKですとこういう場面で活躍できます。Kinectのカメラが赤外線センサーで、暗いところでも機能するという点もよかったと思います。

 ある特別支援学校では、ボーリングゲームのおもちゃでOAKを活用されているそうです。プラスチックでできたおもちゃのボーリングのピンは、倒れたとき、軽い音しかしません。そこで、ピンの場所にスイッチを設定し、ピンが倒れたら、パソコンから大きな音を発するように工夫されたそうです。身体の一部分を動かすことをスイッチとして認識するだけでなく、こんなふうに物をスイッチにすることもできるんですね。たとえば、テーブルの上のバナナを手に取ったら、そのバナナの動きをスイッチとして、照明が消えるというようなことも可能なわけです。私たちが思いつかなかったような使い方をしていただいて、楽しく使ってもらっているのがとてもうれしいです。

 脊髄性筋萎縮症(SMA)の子供に、OAKを使って電動のおもちゃを動かしてもらいました。電源をオンにすると、プロペラが回ってキラキラと小さい電球が光り、電源をオフにすると、プロペラが止まり、電球も消えるというものです。このとき、「初めておもちゃで遊ぶことができた」という感想をいただきました。そんなふうに何かを操作してみて「おもしろい!」「楽しい!」と感じていただくことが本当に大切だと思っています。そういう体験から、「おもしろそうだからやってみよう」という能動的な気持ちを引き出すことができたらいいですね。以前、コミュニケーションツールの利用を促したときに「文字は書けるようになったけど、手紙の内容として何を書いたらいいか思いつかない」というコメントを聞いたことがあります。道具があって文字が書けるということと、誰かに自分の思いを伝えたいと感じることは別の問題なんですね。OAKが重度障がいの子供たちに能動的な気持ちを呼び起こすきっかけになればと思っています。

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