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これまで制作されてきたVRの動画と異なる特徴はありますか?
青木:基本的に共通するのは、能動的にコンテンツの中に入り込めるような工夫です。たとえば、場面を体験するだけではなく、自分も実際に発言や行動できるようなものもありますし、選択肢が出てきて、どのような発言や行動をするかによって、次の場面が変わってくるようなものもあります。
発達障害でない人(定型発達)は、経験を重ねるごとに「こういう行動をしたらこうなる」と想像できるようになります。しかし、発達障害の場合、想像することが難しいため、能動的な体験を重ねる訓練をし、自分の選択によって先の未来が変わることを疑似体験してもらうことが重要なのではないかと考えました。
動画コンテンツの数や種類は、どれくらいあるのでしょうか
青木:動画は150本以上(※2021年2月時点)あります。内容については、小学校の中〜高学年、中高生とか、大学生の就活向け、仕事をはじめてからのものまで多種多様です。年齢やライフステージによって、困るポイントが変わってくるので、それに応じてコンテンツを作っています。制作によっては障害者施設の支援者や特別支援の先生などの意見も参考にさせていただいています。たとえば、体調が悪いのに言い出せないとき、誰にどのように話しかければいいのかだったり、悪気がないのに相手を傷つけたときにどうしたらいいのかだったりと、トラブルになりやすい場面や失敗しやすい場面をクローズアップしてコンテンツにしています。
<市川市立新浜小学校の「emou」を使った公開授業について>
2020年11月に、「emou」を活用して自己紹介を練習する公開授業が行われました。
今回は、自分の自己紹介の振る舞いや目線、相手が自己紹介しているときの聞き方などを練習する授業を行いました。
Wi-FiでインターネットとVRゴーグルをつなげて、自己紹介の動画コンテンツを流しています。動画には、自分が自己紹介するパートも設けられています。
VRゴーグルには、視点のログ機能があり、自己紹介しているときの目線の動きなどを確認できます。
一人ひとりの生徒に「ちゃんと自己紹介している人の顔を見ることができていて良かったよ」など、行ったことに対してフィードバックしていきます。ただ、練習するだけではなく、出来たことを褒めることで、生徒の自己肯定感や自信を向上させることを大切にした授業を実施しています。