SoundUDは公共性の高いシステムですが、普及に向けてどのように動いているのでしょうか?
森口:2015年くらいからこの取り組みをスタートしましたが、2017年頃から自治体やさまざま業界との連携をはじめました。SoundUDの普及は、「音の点字ブロック」を街中に敷き詰めていくようなイメージです。
そうなると自治体との連携が必要不可欠になってきます。京都の場合、自治体を中心として文化遺産やバス会社、商業施設などの民間会社が集まり、一帯をSoundUD対応にしようという取り組みを進めています。
また、どうやって社会全体を巻き込むかという課題がありました。そこで、我々が採ったのが、企業を横断したコンソーシアム(協議会)を作ることです。2019年12月の段階で、300を超える企業・団体が、コンソーシアムの会員として参加しています。
1社ではなく、コンソーシアム全体での取り組みにすることの利点は何でしょうか?
森口:コンソーシアムを作ることで、国や自治体、公的な支援を受けやすくなります。そうなると、「日本全体で盛り上げていこう」というムードにつながります。まずは、そうした雰囲気を作り、ひいては民間だけで自走できるようになるまで、コンソーシアムとして支援する方法が、普及にあたって有効だと考えました。
また、ヤマハが持っているのは、音声トリガーを中心として情報を配信するための配信システムだけです。そのため、音声トリガーの技術やサーバーの提供、啓蒙・理念的な部分を担えても、大々的な普及となると難しいです。1社のビジネスに留めるのではなく、音をユニバーサルデザイン化するためのモジュールや開発ツールを提供して、多様なサービスの中に組み込むことを目指しています。
すでに、サービスに組み込んだ事例はありますか?
森口:スマートフォンやパソコン等でラジオが聴けるサービス「radiko(ラジコ)」が、音声トリガーを自社のアプリに組み込んでいます。これにより、radikoを立ち上げているときに、音声トリガーによって配信された情報がradiko内で表示されるようになりました。
音声トリガーの可能性について語る森口氏