会社組織にしてから約3年ですが、島影が大学院に通っていた期間もあり、2017年から改めて本格スタートして開発を進めています。現在、開発に協力してくださっている全盲の人には、「名刺や届いた宅配便の送り主の名前などを軽く確認するのに使うのに便利」とおっしゃっていただいています。ただ、長い文章になるとカメラのブレなどもあるので、置き型の文字読み上げ装置の方が使いやすいのかもしれません。また、既存の音声認識装置を使ってきた人は、耳が訓練されているので、音声を読み上げるスピードをかなり速く設定しています。現状の「OTON GLASS」は読み上げスピードがゆっくりなので、「スピード調整機能があった方がいい」という意見もいただきます。使い勝手の部分でユーザーが日常生活でしっくりくる機能やデザインに修正している段階です。
さまざまな意見を拾い上げるべく、失読症や視覚障害の人を中心に「OTON GLASS」を使って街中を歩いてみるイベントも開催しました。4人1組で歩いて、看板に書いてあるメニューや、気になるお店の名前を読み上げてみるといった体験をしてもらいました。街歩きではそれまで挙がってこなかったような意見もたくさんいただきました。たとえば、視覚障害者は街を移動する時に、目的地を決めたらスマートフォンのGPSを使うことが多く、出発地から目的地へ、点から点の移動になってしまい、途中に何があるか気にしたことがないそうです。ただ、「OTON GLASS」を使ってみると、街中にこんな自動販売機があったのかとか、この書いてあったのかとか知ることができて、「散歩しているように楽しい気分になる」という人もいらっしゃいました。
試作のブラッシュアップのため視覚障害者に協力を仰ぎ体験会も度々実施している