プロップ・ステーションを立ち上げた理事長の竹中さんに、「しごとサポートICT」で実施している支援の内容と、その目的について伺います。
1991年に、プロップ・ステーションを設立した理事長の竹中ナミさん
私たちは、チャレンジドに「プロ」になってもらうことを前提に、支援の内容を決めています。オールマイティーではなくても、在宅でできる技術をしっかり身に付けてもらいたいのです。たとえば、データの入力も仕事としては重要なことですが、どうしても賃金は低くなってしまいます。もちろんそうした仕事の支援を全くしないというわけではありませんが、より専門性の高い「WEBサイトのプログラミング」や「最新のグラフィック系ソフト」など、最新技術を学び、プロフェッショナルとして収入を得る道を見つけてほしいと考えています。
趣味程度の知識を学んでも、趣味以上にはなりません。大事なのは、本当に仕事として稼いでいる、第一線で活躍されている方に講師を務めていただくことです。そこで、一流のプロを講師に招いて、どのソフトでどんな勉強をしたら稼げるのかについても学べる講座を作っています。たとえば、グラフィックデザインソフト「Illustrator(イラストレーター)」を教えている人は、フリーランスとして大企業のパンフレットの制作も手掛けているプロで、第一線で仕事をされています。また、特徴的なのは講師がただツールの使い方を教えるのではなく、仕事の真髄を伝えるという点。たとえば、グラフィックデザイナーであれば、「なぜあの企業ロゴはあの色を採用したのか」など、デザインのセンスを磨くうえでかかせない「概念」についての指導も行います。
こうした講座内容については、プロップ・ステーションが過去26年間にわたり培ってきた人脈やノウハウをもとに構築しています。ボランティアで講師に来ていただいている会社員の方もいますが、そうした方からは「自分のスキルを活かしてボランティアできる場が他になかった」という声も多く聞くので、社会貢献をしたいと考えている人にとっても、活躍できる場になっていると思います。
また、これまでプロップ・ステーションで就労支援を受けて、ICT関連の仕事に就いた人は企業側から「仕事の質が高い」と概ね高評価で、即戦力として活躍している人材が多い。また、チャレンジド自身が講師として、プロップ・ステーションに戻ってくるケースも多く、「しごとサポートICT」開設以降も引き続き協力してもらっています。現在、「Photoshop(フォトショップ)」や「Illustrator」を用いてデザインと画像処理の技術を基礎から学ぶセミナーを、1回あたり13時から17時まで、全12回開催するなど実践力を鍛える講座を開いています。