実際にお持ち帰りいただいて1週間一緒に生活していただくなかで、ロボットに飽きてしまわないかとか、そういう不安もありました。でも、最後まで皆さんがかわいがってくださったので、その点も予想外でしたね。3日で飽きるのではないかと想定もしていたんですが、全然そんなことはなく、むしろ別れが辛いくらいになってくれたのも予想外の結果でした。ちなみに、今回の実証実験に際してアンケートを取った結果、スマホを使ったことがある高齢者は半数を占めています。それもあってか、タブレットの操作やロボットに愛着を持つということに抵抗感がないようでした。「高齢者に機械を渡しても使いこなせないでしょ?」という時代は、すでに終わりかけていると思います。
これからICTやロボットに苦手意識を持つ世代はほぼいなくなるだろう、と予想する近藤さん
来年度は、また別の形でロボットと高齢者を繋ぐシステムを開発していきたいです。たとえばスマートウォッチを活用して、「血圧が高いから今日は体操をやめよう」という提案をロボットからできるタイプのものを来年度は実証実験したいです。他にも、食事の内容やバイタルデータ、運動中の脈拍や血圧といった、体操や運動量だけではないデータをスマートウォッチで取得し、ロボットに繋いでいければと思っています。
普及について、当社は病院向けのシステム開発をしているので、対個人様とのビジネスはまだ時間を要すると考えています。遠隔医療用である「kubi」に関しては、販売はあくまで医療機関向けですが、2019年4月以降に納品できるまでの状態になるのではないかと思います。 Pepperを活用した健康啓発ロボットシステムは、2017年12月に販売を開始して、病院ごとにカスタマイズして納品しています。ただ、在宅向けのロボットシステムは、「RoBoHoN 」の本体だけで13万円程度と高いことから、価格の設定に苦慮しています。助成金がなければ、高齢者が購入できる価格に抑えることができません。使い方のサポートや維持費のコストがかかることも予想され、自治体の支援を模索しています。
これからスマホ世代も高齢化していくので、ICTやロボットなど先端的な取り組みをした病院にメリットがあるというような仕組みや、体操を継続してくれた人は保険料が安くなるといった制度など、新しい公的なビジネスモデルを成熟させていく必要があるのではないかと思います。