ロボットは、インタラクティブに語りかける、指導してくれる、寄り添ってくれるというところに価値があると思っております。実証実験を通して、ロボットたちは高齢者にとって、孫やペットのような感覚になることが分かりました。ロボットが「一緒にやろうよ」と声をかける、いい姿勢で体操したら「その調子!」、姿勢が悪いと「もっと背筋を伸ばして」って言ってくれることで、「やってあげなくちゃとモチベーションも上がる」という声も聞かれました。
正しい体操を継続するという目的のための手段ではありますが、高齢者にとって自分を必要とされることは、生きがいとも感じるようです。そのため、どのような声掛けと励ましが望ましいかについては、高平先生や理学療法士の方々にアドバイスをいただきながら開発しました。モチベーションを上げるところには力を入れています。
実証実験では、被験者を「パンフレットを渡すだけ」「タブレットを渡すだけ」「タブレットとRoBoHoNを渡す」「kubiを渡して、ビデオカンファレンス(テレビ電話)を行う」の4つの群での比較実験を行いました。結果としてはテレビ電話が、運動の回数としては一番多く運動したことが分かりましたが、実証実験の目的である継続性については、RoBoHoNでも毎日やってくれたという結果も出ました。また、実験から改善点も見えてきました。ロボットの場合、毎日1日1回は必ず実施してくれますが、やったことで満足してしまうということもあるようなので、次回の試作からは「もう一回やってみる?」などの適度なリコメンドを入れたいと考えています。
ただ、今回の実証実験では、高齢者がこういったデバイスを扱えるかが一つの課題でした。そのため使い方は極力シンプルにすることを意識。起動は、一般的なスマホアプリと同じです。アプリのトップからタップしていくと、レクチャー動画が映し出され、RoBoHoNが喋ってくれる、という流れです。ロボットや機器などを繋ぐコードの先端部分には、接続部分と対応する番号シールを貼るなど、どこに何を差し込めばいいのか照らし合わせることができる状態でお渡ししましたが、皆さんは特段設置に苦戦されることもなく、88歳の女性も迷うことなく設置、アプリを起動させて体操に取り組んでくれました。
高齢者がスムーズにシステムを導入してくれたことに驚いた話す山下さん