障害のある方が放送ブースに入る時は、放送用機材を操作するために介助者がいっしょに付くことで放送を行ってきましたが、パーソナリティのタイミングで番組を進めることが難しく、課題となっていました。そこで、北海道立工業試験場(現北海道立総合研究機構産業技術研究本部工業試験場)に相談し、専用の機材開発をすることになったのです。
手指が不自由な場合、マイクのスイッチ操作やスタジオ外のディレクターと会話するためのスイッチ(トークバック)が使えません。そこで、四肢麻痺のパーソナリティ山本博子さんのアドバイスもあり、ストローに息を吹きかけたり吸ったりすることによってスイッチ操作を行う方式を採用しました。ただ、頚椎損傷の方は呼吸筋が弱く、スイッチがうまく作動せず、軽い吹きかけでも作動するように改良するのに苦労しました。また、視覚障害者の方がスタジオ外のディレクターの身振り手振りを見て、タイミングを掴むことができない状況をカバーするために、振動で指示を伝える機材を開発しています。これは「ブルブルキュー」というもので、時計型の振動子機を視覚障害者につけてもらい、送信機からの発信が子機を振動させることでタイミングを伝えるというもの。振動回数で「キュー」「巻いて」「CM入ります」などを決めておくことでパーソナリティは指示を理解できます。
これらの機材は「平成22年度北海道福祉のまちづくり賞」を受賞することになりました。また、放送局としての取り組み、機器開発が評価され、「平成23年度内閣府バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰」において優秀賞をいただいています。
ディレクターからの合図を視覚障害者に伝えるために開発された「ブルブルキュー」
ストローに息を吹きかけるだけでスイッチを操作できる「エンジェルブレス」
「エンジェルブレス」開発エピソードについてのインタビュー動画
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