ロービジョンの方だけでなく、全盲の方であってもiPadを活用することが出来ます。いくつか例を紹介します。
「Light Detector」というアプリは、明るさを音の高低で知らせてくれるアプリです。全盲の方が、部屋の電気の消し忘れがないかなどをチェックできます。現在は、画像の認識精度も非常に向上しており、「Tap Tap See」というアプリは写真に撮ったものを、赤いリンゴを持った、黒いポロシャツの男性』と言った具合に読みあげる事ができます。「Look Tel マネーリーダー」というアプリは、カメラの映った紙幣を識別して、そのお金がいくらなのかを音声で読みあげてくれます。
「iよむべえ」というアプリでは、撮影した画像ファイルをデジタル文字データとして返還できます。写真で取り込んだ文章を文字データに変換し、音声読み上げ機能を組み合わせれば、紙で書かれた文字をiPadで音声として読むことが可能になります。情報を取得するという点で、飛躍的な向上が見込まれると思います。
これらのアプリは、他にも様々にあり、今後もより優れた機能をもったアプリがさらに登場すると思われます。重要な事は、iPadやこうしたアプリを活用することで、出来る事が増え行動範囲が広がることです。使い方を学ぶことで、医療では出来ない患者さんの満足度の向上を図ることが出来ます。
出来る事が増えるほど、より活発に行動できるようになります。iPadや音声パソコンで資料を作成するといった具合に、就労の可能性も広がります。iPadが一般的な機器であることも重要です。障がい者向けの特殊なアイテムではなく、誰もが使っているものだからこそ、活用方法を覚えたいという意欲につながっています。視覚に障害をお持ちの方の世界が広がり、QOL(quality of life)の向上につなげることが私の活動の目的です。
全盲の方のために、iPadなどのタブレット端末やタッチパネルのしくみをまずは触覚で理解するための模型の写真