サイトマップ - ヘルプ - お問い合わせ
 
 
現在位置: トップページ > トピック記事 > 高齢者・障害者支援サービス・取組 > 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による福祉用具実用化開発推進事業(1/3)

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による福祉用具実用化開発推進事業(1/3)

1 福祉用具実用化開発推進事業の概要

  福祉用具実用化開発推進事業は、平成5年に制定された「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」(福祉用具法)に基づいて行われおり、事業は平成5年度から始まりました。この法律の中で、福祉用具の実用化にむけた研究を助成することと、福祉用具に関する産業技術の情報収集や提供を行うことがNEDOの業務として定められています。事業の目的は、福祉用具の開発を行う企業に対して助成金を交付し、福祉用具の実用化を推進することで、高齢者、心身障害者の自立を促進し、さらに介護者の負担を軽減することです。当初は杖や車いすといったような、障害のある方がそれがないと生活できないという用具の開発が多かったのですが、次第に高齢化の急速な進展などに伴い、高齢者や心身障害者の生活の質、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上に主眼が置かれるようになってきています。

  具体的には、今後急増が予想される「少し不自由な高齢者」を対象にした身体機能の維持、介護が必要にならないような予防、自立支援などに役立つ用具とか、高齢者や身体障害者にとって日常生活がよりスムーズになったり、就労が可能になったりするなどのQOLの向上に役立つ用具、また、バリアフリーの推進、高齢者や障害者の積極的な社会参加を支援するための用具の開発・実用化を行おうとする民間企業が助成の対象です。

  研究開発の対象となる福祉用具は、同じような製品が存在しないという新規性を持ち、技術的な革新性があるとともに、利用者のニーズに合致することが大事です。また、開発後一定規模の市場が見込まれることと、ユーザーからみて経済性に優れていることも大きな要素です。審査にあたっては、このように技術面と市場化・事業化面から評価します。

  応募の中には、いいアイデアだが、製品ができた後、どうやって普及させていくのか、どう売っていくのかという事業化についてのプランが甘いというか、不十分な事業者がかなりの割合で見受けられます。例えば、自分の会社で作ったものを大手企業に売ってもらうとか、大きな企業と自分のところとで合弁会社を作るとか、あるいは製造・販売権のすべてを売り渡して、作ってもらい、ライセンスフィーを得るとか、または自分で卸を通じで売っていくとか、色んな普及・販売のスキームはありますが、その辺のところを深く考えていないなどです。そういう場合は、審査の過程でも、あるいは採択の後でも、「この辺はきちんと社内で検討し決めてください」と指導することもあります。ですから、アイデアがいくら突出していても、このビジネスプランのところができていないため、採択に至らないケースがあります。従って、事前にご相談があれば、事業化の方がきちんとできるような情報提供したり、アドバイスしたりすることも行っています。

  助成額は1件当たり最大1年間で1,000万円です。研究開発テーマの実施期間は3年以内となっていますので、最大3,000万円の助成となります。助成率は対象費用の3分の2となっています。対象となるのは中小企業です。大企業と組んでもいいのですが、その場合は助成率が2分の1となります。

  助成させていただく研究開発はNEDOのホームページ上で公募し、その後、外部有識者による事前書面審査と採択審査委員会を経て、NEDOの契約・助成審査委員会によって助成対象事業者を最終決定します。採択審査委員会のメンバーは10人前後で、大学の教授や公立・民間の研究所の研究員に加えリハビリテーションセンターや社会福祉法人の関係者も加わっています。

  推進事業開始当初の平成5年度は、応募件数が64件で採択件数は13件、うち中小企業は6割強の8件でした。平成8年度から16年度までは100件を超える応募があり、12年度には183件に達し、採択数も21件に上りました。採択件数に占める中小企業の割合も増加しており、26年度までの7年間では22年度を除き100%を占めています。事業開始から26年度までの合計では応募件数1902件、採択件数216件、平均競争率は8・8倍となっています。

  企業が開発にかける費用は、テーマによって千差万別ですが、平均すれば1,000万円から1,200万円といったところでしょうか。採択されればその3分の2が助成されるわけです。

ページの先頭に戻る

目次へ 次へ