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視覚障害者が楽しめる「点字カラオケシステム」 (4/4)

4. 嬉しかった反響と今後の目標

カラオケシステムに点字ディスプレイの機能を応用したことで、思わぬ効果もありました。中途失明をされ、難しいからという理由で点字の習得を諦めてしまっていた方が、たまたま国際福祉機器展でこの点字カラオケシステムを体験されたのです。曲に合わせて点字ディスプレイを触ってみたところ、もともとカラオケが好きで、なんとなく歌詞を覚えていたこともあり、次に出てくる点字を予測しながら読むことができたらしいのです。そして、「ゼロから読むのではなく、知っている文字を読むのは、なんて楽なんだろう」と。

点字ディスプレイは点字がはっきり浮き出るので、点字が苦手という方にも比較的読みやすい、という声は以前からいただいていましたが、カラオケというシステムを通して実感していただけたのは、本当によかったです。その後、別の方から「あの方は点字教室にもう一回入会して、点字を習い始めたらしい」という話を伺ったときには、とても嬉しかったことを覚えています。

他にも、イギリスの王立盲人協会の幹部の方が来日されたときに、この「点字ディスプレイシステム」のデモに参加いただき、ビートルズの曲にあわせて点字を読んでいただいたのですが、ここでも非常に喜んでいただけました。英語には漢字がなく、もちろん「当て字」というものも存在しないので、点訳の精度がほぼ100%なのです。ですから、かえって英語の曲の方が、楽しんでいただけるのかもしれません。

今後の目標としては、まずは、「点字ディスプレイシステム」を利用できるカラオケ店が、全国にまだ数店舗しかないので、それがどんどん増えていってほしいですね。あとは、点字ディスプレイのコードレス対応でしょうか。カラオケボックスの中では食べ物と飲み物が行きかうので、点字ディスプレイの上にこぼしてしまう危険性が高いですし、次に歌う人にディスプレイを渡していると、接続しているケーブルがポンとはずれてしまったりもします。安全性も考え、この対応はなるべく早く実施したいと思っています。

また、カラオケ以外にも、例えば映画の字幕や、飲食店でのメニュー表示への応用など、点字カラオケシステムのさらなる可能性を探っていこうと思っています。もともと点字ディスプレイ自体は、NICTの前身である、通信・放送機構(TAO)の平成11年度助成対象事業「インターネット利用による多言語点字変換システムの研究開発」により開発を進めたものです。当時はまだまだインターネットが視覚障害者にとって閲覧しにくい時代だったため、テキストが点字に出力できるシステムは画期的でした。そのときに培ったノウハウは、今、「点字ディスプレイ」や「点字カラオケ」などの製品に活かされています。今後も、この経験値を大切にし、カラオケ以外にも、「こういうものがあって本当によかった」と利用者にいっていただけるような商品の開発に尽力していきたいと思っています。

取材日:
2010年2月
取材協力:
株式会社日本テレソフト
取材者:
独立行政法人 情報通信研究機構 情報通信振興部門 バリアフリーサイト

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