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現在位置: トップページ > トピック記事 > 高齢者・障害者支援サービス・取組 > 音声出題システムが受験の道を開く

大学入試センターでの音声出題システムの開発が、受験の道と未来を開く(5/5)

5. 実用化に向けての取組と今後の展望

今後大学入試センターでは、新たに設置される大学入学者選抜共同研究機構の一つの研究課題として、3カ年をかけてさらなる実証実験を重ねるとともに、文書構造表の作成方法の改善、合成音声の活用、電子ペンの朗読速度可変機能の追加、それにともなう公正な試験時間の推定等を行っていく予定です。センター試験は二十科目以上ありますから、どうやって効率よく低コストで音声問題の作成を進めていくのか、というのが実用化に向けての大きな課題になります。

また、この音声出題システムは、センター試験以外の、例えば教科書等にも応用できるのではないかと、私は考えています。読字障害の子どもたちは、授業で教科書を読めないと、先生が言っていることがわかりません。先生は基本的に教科書に則して話をします。パソコンを使える年齢になっていれば、DAISY方式等を使ったシステムで教科書を読むことも可能になりますが、パソコンの取扱に不慣れな小学1年生や2年生くらいの子どもたちには、まだまだハードルが高いかもしれません。それならば、この見えない二次元コードを重ねて印刷した教科書を用意すればよいのではないかと。

なぜそのように考えるようになったかと言えば、自分の経験からなのです。私たちが高校生の頃は、点字の教科書が全部揃っているわけではなく、カセットテープもなかったのでロングテープを用いて、1時間で読めるものを、巻き戻し、巻き戻して、4時間くらいかけて読んでいました。大学に入ると、数学等、点字や音声の教材はほとんどありません。先生は授業で一生懸命黒板に書いているだけです。私たち視覚障害学生はただ座って、「今日はどのあたりをやっているんだろう」というのを確かめに教室に行くだけでした。大学生ならば家に帰ってからどうにかして読めばすむわけですけれど、やはり語学などは教科書がないとついていけませんから。

そういう生活をしてきたものですから、読字障害の子どもが教科書を読めずに、教室で座っているところを想像しますと、非常に身につまされる思いがするのです。どのくらいの手助けになるのかはわかりませんが、見えない二次元コードつきの教科書があれば、読字障害の子どもたちが、一般の子どもたちと一緒に授業に参加できるようになるのではないか。センター試験での音声出題システムの研究開発の向こうには、そういう道が開けていくのではないかと、期待をしています。

取材日:
2009年10月14日
取材協力:
独立行政法人 大学入試センター
http://www.dnc.ac.jp/
取材者:
独立行政法人 情報通信研究機構 情報通信振興部門 バリアフリーサイト

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