私は世の中にもっと音声読み上げという機能を普及させたいという思いで、開発を続けています。いろいろなホームページの音声読み上げ機能をどんどん普及させて、音声読み上げ機能を必要とする人が多くいるということを自然に理解されるようになれば、立場やニーズの違う人達への配慮が必要なことが自然に理解できます。そんな意味からももっと多くのウェブサイトにvdsのような音声読み上げ機能を付けてほしいと願っています。
しかし読み上げ機能に対応するためには、ウェブサイトがウェブアクセシビリティの基準を守って作られていることが必要です。ときどきウェブデザインの学校に講師として出かけて、「写真や図の説明にはALTタグをつけてください。『勝利のパーパットを沈め、雄たけびを上げる石川遼』などと「画像の内容を短かくしかも端的にその内容を伝えるセンスをみがいてほしい」とお話ししますが、これを実践するためには、HP制作者がウェブアクセシビリティの真の意味を理解しないとむずかしいと思います。
同様に最近では、携帯電話のウェブアクセシビリティの問題が出てきています。今までは通信速度が遅かったのでテキストベースのページが多く、画像を使っているページは少なかったのですが、3Gなどパソコンと同じようなブロードバンドになってきているため、代替テキストのないFlashのみの画像ファイルで作られたサイトでは、ほとんど何も読み上げないため、操作できない場合があります。
たとえばあるお店のページに割引クーポンがあったとしても、そのページまでたどりつけないので利用することができません。これは視覚障害者にとって大きな不利益です。情報障害を作っているのは機械ではなくて、多くの場合サイトを制作している人間です。携帯電話はパソコンと違い、メーカーによってOSなどが違うので、アクセシビリティ基準の統一化をはかることが今後の大きな課題になると思います。
すでに携帯電話で外出先からお風呂のスイッチをオンにしたりするホームオートメーションが始まっています。将来はブラウザを通して情報を一元化するようになり、家庭内のサーバにvdsのような仕組みを入れると、家電製品の各種の情報を音声化することも可能になってくると思います。
今まで、長い間、標準的な成人男性を「ミスター・アベレージ」と想定して、多くの製品が作られてきました。これからは高齢化社会がさらに加速して、視力が衰える人が増えてくるでしょう。このような流れにさらに対応していく必要があると思います。
※画像7 ナレッジクリエーション株式会社代表取締役社長の新城直さん
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原本作成日: 2008年12月8日; 更新日: 2019年8月20日;