点字はフランスで生まれました。もともとはフランスの軍隊が、秘密保持のために考えだした暗号が点字の基礎となったといわれています。暗闇の中でも指令を解読できるように、点で浮き出した暗号を考えたため、「夜の文字」ともいわれていました。それを改良して盲学校の学生だったルイ・ブライユが6点でアルファベットを表しました。2009年は、そのブライユの生誕200年にあたります。この記念すべき年に点字をテーマに展覧会を行おうと、現在少しずつ準備を進めています。キーワードは「点字力」です。
点字というのは6個の点で、かな、数字、アルファベット、最低限の記号などの情報を表すことができます。英語も中国語も、ハングルも6点で表します。点字は、世界中の視覚障害者のための文字として使われています。
晴眼者が使っているひらがな、カタカナ、漢字、数字などは、直線と曲線の組み合わせでできています。この組み合わせは無限にあります。それと逆行するのが、点字です。いかに少ない材料で多くを表すかというところから考え出されたのです。線から点へ。文字は線の組み合わせだというのは視覚を使っている人の常識です。この常識にとらわれず、触覚を使っている人にとっては線じゃなくてもいいのではないかという発想から生まれたのでしょう。
今の世の中は、選択肢が多いことが豊かさを表す一つの象徴となっています。点字は選択肢の多さへのアンチテーゼです。次回の展覧会では、常識にとらわれない点字力の柔軟な発想を訴えていきたいと考えています。
写真8 アメリカのカリフォルニア大学バークレー校で、「日系宗教の異文化伝道」をテーマに講演。
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原本作成日: 2008年1月15日; 更新日: 2019年8月20日;