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聴覚障害者の社会参加を支えるパソコン要約筆記(5/5)

5. 障害者自立支援法と要約筆記の今後について

要約筆記は、奉仕員としての養成事業が昭和56年に、派遣事業が昭和60年にスタートし、厚生労働省の社会参加促進事業のメニュー事業として加えられました。平成12年社会福祉法の改正により手話通訳、要約筆記事業は第2種社会福祉事業として法制化されました。利用者の権利擁護を目的として、専門性を確保する方向になったといえます。

人の話を聞きつかみ、文章に変換するという通訳としての要約筆記の作業は、かなりの専門性を必要としますが、福祉分野でボランティア活動としてスタートしているため、要約筆記に対する認識も技術もその人次第という部分があります。

平成17年に成立した障害者自立支援法では、市町村地域生活支援事業のコミュニケーション必須事業として要約筆記者の派遣事業が定められました。現状では要約筆記の奉仕員しかいないために、暫定的に奉仕員が派遣されることになりますが、今後都道府県事業として要約筆記者が養成されるようになります。奉仕員から要約筆記者への転換に関しては、全難聴(全日本難聴者・中途失聴者団体連合会)で2004年度から検討されています。現在は制度的にも意識的にも転換期にあるといえます。

要約筆記者の養成は都道府県レベルで行うことになっていますが、これまでの奉仕員養成方法はさまざまです。東京聴覚障害者自立支援センターでは、平成12年度から東京都保健福祉局の「聴覚障害者コミュニケーション事業の委託で、養成と派遣事業を行っています。平成18年度まで20回コースの要約筆記奉仕員養成講習会を実施してきました。受講生募集については東京都の広報誌で告知しますが、パソコン要約筆記を希望する方には、受講試験でパソコン入力のスキルも見ます。要約筆記の基本的な考え方や要約の方法は、手書きもパソコンも同じなので、20回の講習のうちの半分以上は、要約筆記についての内容で一緒に受講して、その後手書きとパソコンの方に分かれて講習を行っています。パソコン要約筆記者の養成は、実施しているところといないところがありますし、東京都のように一緒に養成しているケースもありますが、別々に養成しているところもあるようです。平成19年度以降は新しい課程で養成講習会を実施する予定です。

東京都の要約筆記の登録者は、手書き200人、パソコンが30人程度です。そのためパソコン要約筆記への依頼については、人数が確保できない場合は止むなくお断りするケースもあるのが現状です。

障害者自立支援法が施行されて、パソコン要約筆記者のニーズはさらに高まってくると思われます。現在でも公的な派遣のほかに、企業や行政などの主催者が通訳料を負担するケースも増えており、要約筆記者の派遣事業は市区町村の必須事業になります。

※東京聴覚障害者自立支援センターについて

東京都在住の聴覚障害者のために総合的な相談事業や情報保障事業を行い、聴覚障害者の支援の拠点となっている施設。聴覚障害者施設建設のために寄付された土地に聴覚障害者にかかわる団体が募金を集めて建設し、平成10年7月にオープンしました。

現在、東京都聴覚障害者連盟、東京都中途失聴・難聴者協会、東京都手話通訳問題研究会、東京都登録要約筆記者の会、東京都手話サークル連絡協議会、渋谷区聴覚障害者協会、東京ろう重複者と歩む会などの構成団体で運営されています。

■連絡先
所在地 東京都渋谷区東1-23-3
TEL 03-5468-9500 FAX 03-5468-9501

取材日:
2006年12月8日
取材協力:
東京聴覚障害者自立支援センター
取材者:
独立行政法人 情報通信研究機構 情報通信振興部門 バリアフリーサイト

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