「1番危惧しているのは、情報デバイド(格差)があるということです。ネット利用率だって、一般の人と障害を持っている人はもちろん、同じ障害者の中でも障害の種類や程度で違います。都会と地方、若い人とお年寄り、職業などによっても違います。また、1つの情報技術を利用できないと何もできないという状況はおかしいです。それによって重要なことが捨てられていくのに危惧感を抱いています。
それから、考え方についてです。例えば、障害のある人に電動椅子を勧めるとすると、『機械を使えということは、私はもう歩けないということですか。』と言う方もいます。パソコンでも『私こういうのダメ。』って最初から拒否する人もいます。そういう人の気持ちをきちんと理解した上で対応していってほしいし、逆の面からは機械を使うことへの偏見も考え直してほしいところです。」
「あとは、公的な支援の仕方、予算面の問題ですね。欧米では国の担当の下にこうした機器情報などメンテナンスされる。アメリカの教育省は、専門的な活動実績のあるところに対して、まとまった期間で資金的にもサポートしています。日本では、国も財団も企業も長期的に援助してくれるということが少ないです。
個人単位でも、例えばITのサポートを1時間受けていくら払うかというと、一般的に非常に少ない金額になります。日本ではサービスにお金を払う意識が薄いのでしょう。福祉関係は特にその傾向があるように思えます。運営していくための資金というのは実は重要なことで、資金を確保できるようなシステムが必要です。続けていくことが大切なのですから。」
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原本作成日: 2005年10月7日; 更新日: 2019年8月20日;