ICTの進化に伴って事業の内容に変化はありましたか。
岸本:事業内容を変容させるほど大きなインパクトがあったのは、スマートフォンの普及です。スマートフォンが普及するまで、ICT講師としてパソコンを教えることが一般的でしたが、スマートフォンの普及によって状況が一変しました。現在は、パソコンを使う方の多くは仕事で必要としている場合がほとんどで、日常的に使うのはスマートフォンの場合がほとんどです。そのため、教える内容もスマートフォンに関することが増えました。
また、コロナ禍による働き方改革も大きなインパクトがありました。リモートワークが増えたことで、ICT機器の扱いに関してセキュリティの観点で配慮するべきことが増えました。当社にもリモートワーク用にパソコンのカスタマイズを依頼されるケースが増えました。場合によってはリモートワーク用に新しいアプリケーションを導入することもありますので、導入や利用のサポートも担当するようになりました。
コロナ禍のリモートワークによってオンラインの業務が増えて、紙の書面をやり取りする機会が減りました。また、オンライン会議の浸透によって、視覚障害の有無に関係なく相手の音声情報に集中できる環境が整いました。また、オンライン会議では、PowerPointの資料や画面共有を手元のPCで確認できますので、弱視者・ロービジョン者によってはメリットが大きいです。
このような変化によって、視覚障害者が担当できる業務は広がりました。一方で、これまで紙の書類を扱って補助的な業務を担当していた方にとって、ICT機器に順応できるかどうかで、仕事や待遇に格差が生じるという負の側面もありました。ITにそれまで触れてこなかった方ほど、対応できずに離職を余儀なくされることもあります。フロッグワークスとしては、そのような負の側面がなくなるように当事者に寄り添ったサポートを続けていきたいと考えています。