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現在位置: トップページ > トピック記事 > 高齢者・障害者の現状と課題 > ウェブが支える『自分で』できる〜入所障害者の暮らしの中で〜

ウェブが支える『自分で』できる
〜入所障害者の暮らしの中で〜(5/9)

3-1. 趣味や生きがい、パソコンやウェブが(宍倉さん)

――これまでの生活の中で、どのような趣味や夢、生きがいなどを持っていたのでしょうか?

宍倉:趣味は、短歌とか作詩、近頃はパソコンを使って音楽を作ったりしています。まだまだ発展途上ですけどね。スポーツ中継も好きです。施設では、写真クラブに入っていました。

――せっかくですから、お気に入りの短歌をご披露ください。

宍倉さんの写真宍倉:最近の作品では、「秋の日の並木を染める銀杏の葉 風に寄り添いワルツを踊る」です。

――ところで、どんな障害をお持ちなのでしょうか?

宍倉:脳性小児麻痺のため身体の制御ができないので、姿勢が定まりません。首も据わりません。右手があまり動きませんし、左手も不随意運動があるので、うまく動きません。それと、弱視です。メガネをかけても右0.1と左0.2です。また、障害のため、どもってしまうので、言葉を伝えるのが大変です。

――その障害は、趣味や夢、生きがいや生活にどのような影響を及ぼしてきましたか?

宍倉:小学校・中学校・高校と、養護学校でした。あまり高い教育環境では無かったので、ワープロを始めてから漢字を覚えました。高校を卒業して半年間は通所施設に通っていましたが、それから現在の施設にきました。暮らし始めて20年になります。

――パソコンを使いたいと思った気持ちの中には、パソコンによる何らかの展開を期待して…があったのでしょうか?

宍倉 そうですね。趣味に関係する情報とかを探せるし、友人も増えるんじゃないかと思いました。あと、パソコンはワープロの代わりになるんじゃないかと思ったのも、使いたいと思った理由のひとつです。この施設でパソコンを使うようになった第1号はぼくです。インターネットを使い始めたのも、ぼくが最初で、施設の職員さんが見にきたものです。

――色々なホームページを見ることができるようになったわけですが、普段どのようなウェブサイトを利用していますか?

宍倉:ショッピングとか音楽の情報とかを見ています。スポーツ中継も見ています。あと、メールをしています。

――パソコンが使えるようになったことで、また、ウェブを利用できるようになったことで、趣味や夢、生きがいや生活が変わりましたか?

宍倉:テレビとかラジオからの情報と同じように、ぼくの中の情報を得る媒体として膨らみましたね。色々な情報を得るのにとても良いものだと思います。体力的に長い時間使えませんが、1日にだいたい1時間半くらい使っています。

――パソコンを使い出したことで、ウェブを利用し出したことで、予想外だったことは ありましたか?

宍倉:音楽をダウンロードできるようになったのは予想外でした。ぼくたち障害者にとっては革命的なことです。それまではCDを聞きたいと思っても市内まで出かけて行って買ってこなければならなかったのですが、外に出かけるとなると誰かに付き添いを頼まなければいけなくて…。

――付き添いを頼めば、頼んだ時間の分のお金もかかりますものね。

宍倉 インターネットの音楽配信は、好きなときに好きな音楽を、自分で試し聴きして自分で選べます。自分で購入できるというのは、とても嬉しいことです。

音楽に限らず、自分で見て自分で選べるのは素晴らしいことです。自分一人で出かけたりするのは体力的にできませんし、付き添いを頼むとなると、経済的に続きませんから。

反面、パソコンはかなり目を使うので、疲れやすくなりました。使い始めたころは慣れない分だけ操作に時間がかかり、一日中、何時間もパソコンを使っていましたが、体力的にキツクなり、今は少し控えています。

――「友人も増えるんじゃないかと思いました」のほうはどうでしたか?

宍倉:パソコンを始めてから、パソコンボランティアの人たちと知り合うようになりましたし、施設の中でも、パソコンを教えたり教えられたりするようになって、生活の幅が広がりましたね。

また、自分で字を書くことができないので手紙を出したことがなかった兄弟とも、メールができるようになってからは、やり取りをするようになりました。でも、文章がうまくないから…。

――短歌がうまいじゃありませんか。全部短歌で書けば!(笑)

宍倉:実際にはメールを書くにしても、なかなか大変で、ひとつのメールに1時間くらいかかるんですよね。
文字を入力している宍倉さんの写真

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