ナビゲーションをスキップ

サイトマップ - ヘルプ - お問い合わせ
 
 
現在位置: トップページ > トピック記事 > 高齢者・障害者の現状と課題 > 横浜市立盲学校のICT(情報通信技術)教育の取り組み

横浜市立盲学校のICT(情報通信技術)教育の取り組み(3/6)

3. 情報通信技術の習得ではどのように音声が活用されているのでしょうか

視覚障害者(全盲者)がコンピュータを利用する場合、マウスを使えないので、キー操作がどうしても必要なのですが、これが一番の難関です。とくに全盲の生徒の場合は、点字の6点入力から標準キーボードのフルキー操作に移行することに抵抗をもつこともあって、時間のかかる生徒もいました。全盲の生徒は点字6点入力に長い間、慣れ親しんできているからです。

しかし、昨今のブロードバンド時代を迎えて、インターネットを使いたい、メールを出したいとなると、「@(アットマーク)」や「~(チルダ)」などの入力が必要になります。フルキーボードの操作に慣れれば、インターネットで情報にアクセスして瞬時に情報を得られます。フルキー操作を覚えたほうが、アドレスなどの入力がずっと早くて効率的だということに生徒達自身が気付きはじめています。キーボードになかなか慣れない生徒は、コンピュータを嫌う傾向があるように思います。

キーボードを見ないで打ち込むことをタッチタイプ(ブラインドタッチ)などと言いますが、視覚障害者に対応したキーボードの練習ソフトウェアがなかったので、今までは教員が工夫して作ったキーの配列表を配ったり、ABCを順番に入力してもらったり、入力の競争をしたりして工夫してきました。しかし体系的な指導法がなくて、キー操作をマスターさせるのが難しい状況でした。生徒自身のもつ力によって、また個人の努力によって、入力のスピードや正確さに差が出ていました。そこで、モニター画面を使用せずに合成音声やナレーション、効果音などで楽しみながらキーボード入力を練習する画期的なソフトウェア「ウチコミくん」を京都のe音ネットと開発に協力することになりました。生徒達は、「ウチコミくん」で、ボストン、ニューヨークなどアメリカの都市を旅行しながらゲーム感覚で楽しみながらキーボード入力の練習をするようになりました。それまでは教員から何度も注意されるとやる気をなくす生徒がいたのですが、「ウチコミくん」に登場するキャラクターの鶴雲斎(かくうんさい)先生から、「何をやっているんじゃ?」などといわれると、ついつい笑ってしまって、頑張る気持ちが湧いてくるようです。

また続編の「ウチコミくん3D」は、キーボード配列に合わせて、左、右、高い、低い、上、下などキーボードの位置が音で立体的に再現されます。たとえば、Pなら右奥上から聞こえてきます。

高等部の授業風景の写真
※高等部の授業風景(1)。フリーソフトウェア「音声音もぐら」ゲームを使ってキーボードの練習

高等部の授業風景の写真
※高等部の授業風景(2)。テキスト入力中。音声を聞きながら漢字変換を選ぶ

ページの先頭に戻る

前へ 目次へ 次へ

 

以下は、このページの奥付です