ナビゲーションをスキップ

サイトマップ - ヘルプ - お問い合わせ
 
 
現在位置: トップページ > トピック記事 > 情報バリアフリー全般 > ユニバーサルデザインの視点で暮らしを見つめなおし、21世紀は“誰でも社会”へ

ユニバーサルデザインの視点で暮らしを見つめなおし、
21世紀は“誰でも社会”へ (5/5)

5. サイトをご覧になっている方にメッセージを

高齢社会では、多様なニーズをもつ市民が社会の主役です。その主役たちが、まちづくりやものづくりにおいて、デザインの最初からかかわることができ、発言できるような仕組みづくりを、行政はもっと支援すべきです。

米国では、連邦政府の中で、障害をもって働いている人が17万6000人くらいいます。日本では考えられない数字です。某自動車メーカの全盲のエンジニアなどは、車のことについては、運転すること以外は何でも知っている、と豪語します。同じく全盲で七か国語がペラペラというドクターもいます。目だけでパソコンを操作する銀行の副頭取もいます。欧米では政府の高官になっていたり、ベンチャー企業の社長職にあったり、介助犬を連れて仕事をバリバリこなしている重度障害者は珍しくありません。ITの進化が、社会のあり方を変えたのです。

メディアは、日本の社会に対して、障害者や高齢者が弱いだけの存在というメッセージを送らないでほしいですね。障害者や高齢者は、Non-Abilityではないのです。たまたま障害をかかえたために、能力の発揮が一部阻害された状態の、Dis-Abilityなのです。技術は、その状態をカバーすることが可能です。それを理解すれば、年をとること、障害をもつということへの不安はかなり解消されるはずです。ITや科学技術が世の中に貢献できることは山ほどありますし、それによって能力を発揮できる人々が社会に対して可能な貢献も、山のようにあるはずです。

先月発刊された『スローなユビキタスライフ』でも、多様な人々が自分に合ったユニバーサルなIT機器で情報受発信できる未来社会を描きました。われわれがこれから住む日本の未来は、ユビキタスを駆使しつつ、子どもも大人も、幸せに暮らせるユニバーサルデザインの社会であってほしいのです。

表紙画像
スローなユビキタスライフ」/地湧社 関根千佳 著

そのためにも各省庁、自治体、企業、研究機関に、ユニバーサルデザインの概念をしっかり理解していただきたいと思っています。

ページの先頭に戻る

取材日:
平成17年7月22日
取材協力:
株式会社ユーディット 代表取締役 関根千佳さん
関根千佳さんの写真
せきね・ちか
長崎県佐世保市生まれ。IBM SNS(Special Needs System)センター課長を経て、1998年、株式会社ユーディット(情報のユニバーサルデザイン研究所)を設立、現在に至る。
アクセシブルなWeb構築やIT機器デザインのコンサルティングを行う。総務省情報通信審議会、経済産業省日本工業標準調査会をはじめ、各省庁や自治体のユニバーサルデザインに関する委員を多数務める。美作大・金沢大・東京女子大・東海大等の非常勤講師。主著に岩波書店『「誰でも社会」へ』、地湧社『スローなユビキタスライフ』等。
関連書籍
スローなユビキタスライフ」/地湧社 関根千佳 著
『誰でも社会』へ〜デジタル時代のユニバーサルデザイン〜」/岩波書店 関根千佳 著
取材者:
独立行政法人 情報通信研究機構 情報通信振興部門 バリアフリーサイト

ページの先頭に戻る

前へ 目次へ

 

以下は、このページの奥付です