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現在位置: トップページ > トピック記事 > 情報バリアフリー全般 > ユニバーサルデザインの視点で暮らしを見つめなおし、21世紀は“誰でも社会”へ

ユニバーサルデザインの視点で暮らしを見つめなおし、
21世紀は“誰でも社会”へ (4/5)

4. ユニバーサルデザインと私たちの暮らしの関係は?

健康な成人男性を基準につくられた従来のまちやもの、公共交通、都市計画などが、誰にでも使いやすいとは言い難いことに気づき、みんなが少しずつ声を上げはじめました。各地で、リタイアしたシニアのグループが地域を住みよくするために活動を始めています。子育て中のお母さんたちのチームや、地域の障害者とも連携して、多様な人々の意見をまとめ、提言しています。

そこでは、ITが大きなはたらきをします。たとえば、電話でのコミュニケーションが難しかった聴覚や発話に障害のある人はメールで意見を送信できます。視覚障害者もWebサイトの画面やメールを音声で読み上げ、情報の受発信が可能になりました。使いやすいパソコンを手にした高齢者も、携帯メールに慣れた子育て中のお母さんたちも、ITが普及したことで行政や企業に意見を言いやすくなりました。

いま日本の省庁や自治体で政策を決めたり、企業で製品をつくったりしている人たちの多くは、障害者のこと、高齢者のこと、さらにはほとんどが男性ですから女性のこと、子どものことをあまり知りません。生活者の視点があまりにも薄いのです。そういう人が机上でいくら一所懸命にプランを練っても、結果は本当のユニバーサルデザインにはなりません。

海外では、小学校から大学まで、同じクラスの中に目や耳の不自由な子や車椅子の子どもがいるケースが少なくありません。そのため、小さいころからどうやってサポートをすればよいのかを、社会全体で大人も子どもも理解しています。企業でも行政機関でも同様で、ITなどの技術を使いながら多くの障害者と一緒に働いていますので、普段から彼ら・彼女らとともに行動するにはどうすればよいのかが肌でわかっているのです。女性の管理職も多く、定年もありません。能力さえあれば年齢も人種も性別も関係ないという、ユニバーサルな社会です。欧米だけではなく、アジアでもそのような考えが進んできています。

しかし、残念ながら、日本ではそのような環境ではありません。そのためには、行政や企業は、「まず当事者に聞く」という姿勢をもつことが必要です。知らないことは教えてもらえばよいのです。三鷹市のシニアSOHO、浜松市のアクションシニアタンク、三重県のe-フォーラムなど、自治体とともに、積極的に活動を展開しているNPOも増えています。

多様なユーザー団体が、建設的な関係を行政や企業と築けたときに、われわれ全体の生活が、ユニバーサルデザインによって、暮らしやすく、楽しいものになっていくのです。

また、ユニバーサルデザインのIT機器を使って、行政や企業に意見を届ける当事者が増えてきたとき、わたしたちの生活や暮らしは、よりユニバーサルになっていきます。自分の暮らしを、自分たちの視点で、よりよく変えていけるための道具として、ITが活躍するのです。

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