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ウェブアクセシビリティを取り巻く環境の変化について(2/4)

2. 国内におけるウェブアクセシビリティの課題とは

WCAG 2.0には幾つかの達成基準があります。WCAG 2.0テクニック文書には、各達成基準を満たすためのテクニックが挙げられているのですが、日本においては、そのテクニックを使って実装されたコンテンツであっても実際にはユーザーが利用できない、という状況が起こりうるのが大きな課題の一つになっています。

なぜそのようなことが起こるかというと、例えば英語圏と日本語圏のスクリーンリーダーの機能の違いによる問題があります。現在英語圏やヨーロッパ言語圏で主流になっているスクリーンリーダーは、かなり高機能なもので、WCAG 2.0もこのソフトを前提として考えているところがあります。しかし、日本の主流はそのソフトではなく、機能面での差異が大きい。つまり、同じ達成基準を満たす場合でも、英語圏ではAというテクニックを使えばいいが、日本の場合はB、あるいはCのテクニックを使わなければならない、というケースが出てくるわけです。

では、日本のユーザーのことを考えた場合、どのテクニックを使えばいいのか。それを制作者個々の判断にゆだねるというのは、少々難しいでしょう。現在、JIS X 8341-3の改正原案を作っていたワーキンググループのメンバーや、アクセシビリティに関して実績のある企業数社が中心となって、必要なドキュメントを翻訳したり、テストファイルを作ったり、検証作業を行ったりということを行っています。いわば、実際に皆さんにJISを使っていただくための、基盤整備作業です。判断に迷うものは、統一見解のようなものをまとめてリコメンドをする、ということを、これからやろうとしています。

この作業は、情報通信アクセス協議会の「ウェブアクセシビリティ作業部会」で着手したところです。

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