「Ubitone」はどのようなデバイスなのでしょうか。概要を教えてください。
山蔦:盲ろう者のコミュニケーション方法の一つとして指点字があります。指点字とは、盲ろう者の指の上に通訳者が指を乗せて、タイプライターを打つように指をトントン動かして文字や言葉を伝え合う方法です。指点字を行う通訳者の代わりに、グローブのようなウェアラブルデバイスを手に装着した盲ろう者の指に音声やメッセージを指点字に変換して伝達できるようにしたものが「Ubitone」です。
現在、指点字で盲ろう者と会話するためには指点字の知識が必要ですが、「Ubitone」によって指点字を知らない人でもコミュニケーションを取れるようになります。
「Ubitone」には、文字の受信と送信を行う二つの機能があります。スマートフォンに専用のアプリをインストールし、アプリを通してたくさんの情報をグローブで受け取ることができます。スマートフォンに話しかけると、アプリの音声認識機能で音声をテキストに変換し、さらに指点字に変換します。そこからさらに指点字を振動に変換し、Bluetoothで接続したグローブに伝わります。このように、盲ろう者は「Ubitone」のグローブを介して音声を指点字で理解することができます。
もう一つは、「Ubitone」のグローブに搭載した加速度センサーを使った送信機能です。このセンサーは、物体の傾きや振動などの情報を計測するための装置で、グローブを付けた盲ろう者の指先の動きを感知します。指点字は指の動かし方にパターンがあるので、センサーをキーボードとしてスマートフォンやパソコンに文字入力し、文章として表示させることができます。
「Ubitone」専用に開発したグローブと電子回路
グローブの指先にセンサー・アクチュエータを搭載した様子
グローブを手に装着。専用アプリで指点字をテキストに変換。テキストを音声で読み上げることも可能
専用アプリを立ち上げて話しかけると、指点字に変換して振動を指先のセンサーに伝える