最初に、「ポケトークmimi」の特徴について教えてください。
川竹一さん(以下、川竹):最大の特徴は、使い方がとても簡単な音声変換装置である、という点です。「ポケトークmimi」には、オンオフボタンと、もうひとつ音声を吹き込む際に押すボタン、ボリュームボタンの3つしかありません。音声を文字に変換する際には、ボタンを押しながら話す、あるいはハンズフリーモードで使えば電源を入れて話すだけで音声を文字にスピーディーに変換できます。スマートフォンのアプリにも、音声を文字に変換できるものがありますが、専用機ということで、使いやすさにこだわりました。ペンなどの筆記用具を使わなくても、いわゆる声の筆談が可能になり、健常者と難聴者の両方の負担とストレスを解消します。また、スピードの速さや文字変換の精度の高さにもこだわって開発しています。
どのようにして、文字変換のスピードの速さと文字変換の精度の高さを実現しているのでしょうか?
川竹:文字変換のスピードについては、「ポケトークmimi」のボタンを押しはじめたときから、リアルタイムでクラウドに音声を送信し、AIを用いた高性能のシステムで文字変換の処理をしています。そのため、スピードが遅れているような感覚にならず、話している速度と同じスピードでの文字変換が可能です。
また、文字変換の精度については、雑音を除去するノイズキャンセル機能搭載のマイクロフォンを装備しているので、かなりの小声でも正確に検知することができます。静かな環境だけではなく、騒がしい場所であっても、背景音を打ち消し、雑音を排除した状態の音声をキャッチできるので、文字変換の正確性も高いです。
シニア製品設計スペシャリスト(2020年10月時点)として、「ポケトークmimi」の開発を担当した川竹さん